印刷速度は、プリンタを快適に使用するために欠かせない要素だ。画質との兼ね合いもあるが、同程度の印刷品質であれば、速いに越したことはない。前回は複合機の機能と使い勝手をチェックしたが、最後の印刷がもたつくとストレスがたまってしまうだろう。そこで、特集の第3回は主に使用されるであろう印刷シーンを想定し、印刷に要する時間を計測した。
検証する複合機は合計7台で、エプソンの「EP-901F」「EP-801A」「PM-A840S」、キヤノンの「PIXUS MP980」「PIXUS MP630」「PIXUS MP620」、日本ヒューレット・パッカードの「HP Photosmart C6380 All-in-One」とハイエンドを中心に注目のモデルを集めている。
第1回 今年は複合機の“当たり年”――最新モデルの傾向と注目機は?
第2回 省スペースと高機能を両立したい――複合機7モデルの使い勝手は?
第3回 写真も年賀状も高速印刷がいい――複合機7モデルのスピードは?(本記事)
第4回 印刷品位をとことんチェック――最も高画質な複合機は?
本特集で比較・検証する複合機7モデル | |||||
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製品名 | メーカー | 液晶モニタ | インク構成 | スキャナ | 実売価格 |
EP-901F | エプソン | 3.5型 | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 4800×4800dpi(CIS) | 4万円台前半 |
EP-801A | エプソン | 2.5型 | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 2400×4800dpi(CIS) | 2万円台半ば |
PM-A840S | エプソン | 2.5型 | 染料6色(シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラック) | 1200×2400dpi(CIS) | 2万円前後 |
PIXUS MP980 | キヤノン | 3.5型 | 染料5色(シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×9600dpi(CCD) | 3万円台前半 |
PIXUS MP630 | キヤノン | 2.5型 | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×9600dpi(CIS) | 2万円台半ば |
PIXUS MP620 | キヤノン | 2.5型 | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 2400×4800dpi(CIS) | 2万円台後半 |
HP Photosmart C6380 All-in-One | 日本HP | 2.4型 | 染料4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)+顔料1色(ブラック) | 4800×9600dpi(CIS) | 2万台半ば |
PCのテスト環境 | |
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CPU | Pentium 4 3.2G |
チップセット | Intel 875P Express |
メモリ | 2Gバイト |
グラフィックス | Radeon X1650 |
OS | Windows XP Home Edition(SP3) |
計測の内容は大別して、A4モノクロ印刷、L判カラー印刷、A4カラーコピー、自動両面印刷の4パターンだ。詳細については各項で述べることにする。印刷品質の設定と使用する用紙は適宜変更を行うが、それ以外の項目はプリンタドライバのデフォルト設定を使用した。テストに用いたPCは右表の通りで、少々古めのWindows XP搭載機だ。
なお、印刷品質の設定に対する印刷解像度は、メーカーによっては公表していないため、同じ「きれい」の設定であっても、プリントエンジンやそれがもたらす画質の違いなどによって、印刷解像度は異なる。したがって、厳密には純粋な横並び比較とはいいがたい部分もあるのだが、各モデルでどの印刷品質に設定したら印刷時間がどれくらい必要なのかをチェックしてほしい。
まずはPCを使用して、A4サイズのモノクロ文書を印刷した。原稿はJEITA規格のプリンタ用標準テストパターン「JEITA J1」を用いている。用紙はA4普通紙を使い、プリンタドライバの印刷品質設定は「標準」と「標準より1つ下位」のモードを選択した。計測した時間は、複合機で用紙が引き込まれた瞬間から、排紙が完全に終了する瞬間までだ。Windows上のアプリケーションで印刷を実行してから、給紙が開始されるまでの待ち時間は含めていない。
予想できたことだが、結果はどの製品も例外なく高速だった。「標準」モードの設定では、PM-A840Sが11秒弱とやや遅れたが、それ以外は7〜8秒程度におさまっており不満がない。「標準より1つ下位」のモードでは、EP-901FとEP-801A、C6380が高速で、それに小差でMP980とPM-A840Sが続く。MP620とMP630はほかの製品よりもややスピードが落ちているが、そのぶん、ほかの製品よりも画質が高い。印刷品質の設定をもう1段階下げれば、画質も速度も他製品並みになる。実際に利用する場合は、印刷品質の設定を複数試して、画質と速度のバランスを取るといいだろう。
なお、50枚ほど連続して出力すると、プリントヘッドのクリーニング時間や給紙機構の違いによる差が出てくるだろうが、今回集めた7台は家庭向け複合機であり、大量印刷が前提のオフィス用ドキュメントプリンタではないので割愛した。
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