日本HPの新モデル「HP Photosmart C6380 All-in-One」は「HP Photosmart C6280 All-in-One」の後継機にあたるが、プリントエンジンの仕様が大きく変更された。
インクセットからはライトインクが姿を消し、シアン、マゼンタ、イエロー、染料ブラック、顔料ブラックの5色セットになっている。ライトインクを削った理由は1.3ピコリットルまで最小インク滴を縮小できたためだ(従来は5ピコリットル)。ドロップサイズの縮小はここ数年来、要望が多かっただけに大きな変革といえる。ハーフトーンのアルゴリズムを改良し、インク滴の重なりを最小限に抑えつつ階調性を向上したという。全弾1.3ピコリットルではなく、5.2ピコリットルと打ち分ける仕組みなので、印刷速度に大きな支障は出ていない。
スキャナはCISセンサーで、解像度4800×9600dpiのエンジンを搭載している。副走査の向上にとどまるが、対応する原稿種は反射原稿のみなので、これでも十分な性能だ。
付加機能はいささか寂しい。CD/DVDレーベル印刷は従来機にもなかったが、自動両面印刷機構が割愛されたのは残念だ。ただし、ネットワーク機能は従来の100BASE-TXの有線LANに加えて、IEEE802.11b/gの無線LANが追加された。また、オプションながらBluetoothにも対応した。
なお、C6380は販路を限定しており、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップなどの量販店で購入が可能だ。下位モデルの「HP Photosmart C5380 All-in-One」はC6380とほぼ同じ性能を持ち、ネットワーク機能に非対応ながらCD/DVDレーベル印刷機構を備えている。印刷速度はC6380のほうが少し速いものの、プリントエンジン自体は同じであり、画質に違いはない。必要な機能に応じて選択するとよいだろう。


2段式の給紙カセットを備えた前面給排紙機構は従来通りで、使用時でも背面に余分なスペースが広がらない(写真=左)。オンキャリッジ式の5色独立カートリッジによる新インクシステムは、インク滴を縮小したのが特徴だ(写真=中央)。スキャナは光学4800dpiのCISセンサーを装備し、フィルムスキャン機能は持たない(写真=右)最後に、本特集で取り上げる7モデルの基本スペックを下表にまとめた。メモリカードからのダイレクトプリント/スキャン/カラーコピーといった基本機能は全モデルが搭載するが、インタフェースやCD/DVDレーベル印刷を含む給排紙機構の違いなどが使い勝手に影響を与えるだろう。次回は、ここで取り上げた6台の複合機が搭載する機能と操作性を検証していく。
第2回はこちら。
| 今回取り上げる複合機7モデルの基本スペック(ハイエンドクラス) | ||
|---|---|---|
| モデル名 | EP-901F | MP980 |
| メーカー | エプソン | キヤノン |
| 実売価格 | 4万円台前半 | 3万円台前半 |
| 液晶モニタ | 3.5型 | 3.5型 |
| インク | 染料6色 | 染料5色+顔料Bk |
| ノズル数 | C/M/Y/K/LC/LM×各180ノズル | C/M/Gy×各1536ノズル、Y/染料Bk/顔料Bk×各512ノズル |
| 最高解像度 | 5760×1440dpi | 9600×2400dpi |
| 最小インク滴 | 1.5ピコ | 1ピコ |
| L判フチなし印刷速度 | 約14秒 | 約17秒 |
| 2系統給紙 | ○ | ○ |
| 自動両面印刷 | オプション | ○ |
| ADF | ○ | − |
| CD/DVDレーベル印刷 | ○ | ○ |
| スキャナ | 4800×4800dpi(CIS) | 4800×9600dpi(CCD) |
| フィルムスキャン | − | ○ |
| メモリカードリーダー | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD(要アダプタ) |
| FAX | ○ | − |
| USB 2.0 | ○ | ○ |
| 有線LAN | ○ | ○ |
| 無線LAN | ○ | ○ |
| Bluetooth | オプション | オプション |
| PictBridge | ○ | ○ |
| 赤外線 | ○ | ○ |
| サイズ(幅×奥行き×高さ) | 466×385×198ミリ | 470×385×199ミリ |
| 重量 | 約10.7キロ | 約10.7キロ |
| 今回取り上げる複合機7モデルの基本スペック(ミドルレンジクラス) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| モデル名 | EP-801A | PM-A840S | MP630 | MP620 | C6380 |
| メーカー | エプソン | エプソン | キヤノン | キヤノン | 日本HP |
| 実売価格 | 2万円台半ば | 2万円前後 | 2万円台半ば | 2万円台後半 | 2万台半ば |
| 液晶モニタ | 2.5型 | 2.5型 | 2.5型 | 2.5型 | 2.4型 |
| インク | 染料6色 | 染料6色 | 染料4色+顔料Bk | 染料4色+顔料Bk | 染料4色+顔料Bk |
| ノズル数 | C/M/Y/K/LC/LM×各180ノズル | C/M/Y/K/LC/LM×各90ノズル | C/M×各1536ノズル、Y/染料Bk×各512ノズル、顔料Bk×320ノズル | C/M×各768ノズル、Y/染料Bk×各256ノズル、顔料Bk×320ノズル | C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル |
| 最高解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 9600×2400dpi | 9600×2400dpi | 9600×2400dpi |
| 最小インク滴 | 1.5ピコ | 1.5ピコ | 1ピコ | 1ピコ | 1.3ピコ |
| L判フチなし印刷速度 | 約14秒 | 約22秒 | 約18秒 | 約35秒 | 約15秒 |
| 2系統給紙 | ○ | − | ○ | ○ | ○ |
| 自動両面印刷 | オプション | − | ○ | − | − |
| ADF | − | − | − | − | − |
| CD/DVDレーベル印刷 | ○ | ○ | ○ | − | − |
| スキャナ | 2400×4800dpi(CIS) | 1200×2400dpi(CIS) | 4800×9600dpi(CIS) | 2400×4800dpi(CIS) | 4800×9600dpi(CIS) |
| フィルムスキャン | − | − | − | − | − |
| メモリカードリーダー | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD(要アダプタ) | CF、MS、SD、xD(要アダプタ) | CF、MS、SD、xD |
| FAX | − | − | − | − | − |
| USB 2.0 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 有線LAN | オプション | オプション | − | ○ | ○ |
| 無線LAN | オプション | オプション | − | ○ | ○ |
| Bluetooth | オプション | − | オプション | オプション | オプション |
| PictBridge | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 赤外線 | ○ | ○ | ○ | − | − |
| サイズ(幅×奥行き×高さ) | 446×385×150ミリ | 450×413×205ミリ | 450×368×176ミリ | 450×368×176ミリ | 452×406×207ミリ |
| 重量 | 約9キロ | 約8.3キロ | 約8.8キロ | 約8.6キロ | 約7.5キロ |
複合機08-09年モデル徹底検証:最終回 2008年末のプリンタはどれを選ぶべきか?
複合機08-09年モデル徹底検証:第4回 印刷品位をとことんチェック――最も高画質な複合機は?
複合機08-09年モデル徹底検証:第3回 写真も年賀状も高速印刷がいい――複合機7モデルのスピードは?
複合機08-09年モデル徹底検証:第2回 省スペースと高機能を両立したい――複合機7モデルの使い勝手は?
最上位はタッチパネル+ADF搭載:エプソン、小型化とデザインに注力した複合機/プリンタ08年モデル
CMはぐっと大人向けに:ユーザー視点で複合機をイチから作り直した――エプソン「カラリオ」発表会
最上位はグレーインクを装備:キヤノン、新インクで発色を向上させた複合機/プリンタ08年モデル
三姉妹も駆けつけた:プリンタは“PHOTO LIFE PLAYER”へ――キヤノン「PIXUS」発表会
新エンジンで国内メーカーに対抗:日本HP、写真印刷を高画質化した複合機08年モデル
新5色インクが登場:「速」「美」「省」「快」で毎日の生活を楽しく便利に──日本HPインクジェットプリンタ発表会
複合機07年モデル徹底攻略:第1回 最新複合機の傾向と注目モデルをチェック
A3ノビプリンタ特集:第1回 画質も迫力も圧倒的なA3ノビプリンタを選ぶ
小さくてもA4が出せる:“脱”据え置き印刷機のススメ――最新A4モバイルプリンタ徹底比較(前編)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.