9月29日、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)が行った発表会では、複合機3モデル、単機能プリンタ1モデルの新製品が登場した。製品の詳細はこちらの記事に譲り、ここでは発表会の模様をお届けする。
冒頭、同社 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 挽野元氏は、コンシューマーとSOHO向けのボリュームビジネスタワーと、大企業やグラフィックス事業向けのバリュービジネスタワーをSnapfishでつなぐ「ツインタワー戦略」について解説。「ツインタワー戦略にもあるように、HPはベースインフラからグラフィックス事業、エンタープライズやSMB、そしてコンシューマーとトータルパッケージとしてすばらしいものを持っており、体力には自信がある」と述べ、今回投入する新しいコンセプトに基づく新製品のテーマである「毎日の生活をもっと楽しくもっと便利に」の背景を紹介した。
HPの調査によると、「家庭でのプリントのうち、全体の半分弱のユーザー(48%)がインターネットにアクセスしてコンテンツを活用している。加えて、日本ではデジカメで写真を撮って印刷するという2つのニーズが使い方の中心である」と語り、「HPは、これら以外にも写真をWebにアップロードして共有したり保存したり、アクセサリーにして楽しめるオンラインフォトサービスのSnapfishや、複数にまたがりがちなWebプリントをもっと便利に行えるソフトウェア“HP Smart Web Printing”を提供している」とし、「HPは世界シェアNo.1のプリンタ/複合機、PCというハードウェアだけでなく、世界最大規模のオンラインフォトサービスや独自ソフトウェアを持っており、これらを活用することで“毎日の生活をもっと楽しくもっと便利に”」なるとまとめ、新製品のキーワード「速」「美」「省」「快」に触れた。


日本HPが掲げるツインタワー戦略(写真=左)。家庭でのプリントは約半数がインターネットのコンテンツであるとする調査結果(写真=中央)。HPが提供するソリューションを活用することで、写真をさらに楽しめる(写真=右)

Webプリントを便利に行える独自ソフトウェア「HP Smart Web Printing」を提供中(写真=左)。シェアNo.1のハードウェアやオンラインフォトサービスを生かすHPのコンシューマー戦略(写真=中央)。新製品のテーマとキーワード(写真=右)続いて、イメージング・プリンティング事業統括 ボリュームビジネス本部 コンシューマ・SMBマーケティング部 部長 徳永信幸氏が、「速」「美」「省」「快」の4つのキーワードの説明と、新製品の特徴を解説した。
HPが1年以内にプリンタを購入したユーザーにアンケート調査を行ったところ、「価格以外では、スピードや画質といった基本性能が機種選定の理由にあがっていた。また、5〜6年前はプリンタを個人の部屋で使うケースが多かったが、今はリビングにおいて家族みんなで活用しているのが分かった」と指摘。「求められているのは、文書も写真も高速プリント(速)で、文書も写真も高画質(美)、そしてデザインや省スペース設計(省)である」と語った。加えて、「PCも家族全員で使う時代から、1人1台の時代に移っているのではないか」とし、「複数台のPCを所有するのであれば、(プリンタにも)省スペース性やワイヤレスでの共有(快)が必要とされる」と説明した。
複合機と単機能プリンタをあわせて4モデルを投入するが、「特に強化拡充したのが画質と無線LAN機能で、9600dpiの高画質、1.3ピコ/5.2ピコのデュアルドロップボリュームテクノロジー(DDV)などスペックは高い」と自信をのぞかせた。


複合機3モデル、単機能プリンタ1モデルという新ラインアップ(写真=左)。コンシューマーとSOHO/SMBの新ラインアップ(写真=中央)。新モデルでは無線LANあるいはBluetooth(オプション対応)のどちらかに対応(上位モデルは両対応)している(写真=右)

顔料+染料4色の新インクシステム(写真=左)。1.3ピコ/5.2ピコのデュアルドロップボリュームテクノロジーや顔料系インクの採用により、文書も写真も高画質を実現したという(写真=中央)。Snapfishと連動したキャンペーンが展開される(写真=右)最後に、イメージング・プリンティング事業統括 ボリュームビジネス本部 本部長 竹田芳浩氏が販売戦略を語った。「インクジェットプインタ市場は成長期が終わり、成熟期を迎えて出荷台数もマイナス成長になっているが、日本での出荷台数は非公開ながらHPは2004年終わりから出荷台数を着実に伸ばしている」と断言。ユーザー調査の結果から、「今後の成長に必要なのはリピート購入の促進と購買層の拡大である」と述べ、「そのために必要なのはインクの価格を下げてどこでも購入できるようにすること、HP製品に触れる機会を増やしてターゲット層を拡大することである」とまとめた。
具体的には、ヘッド一体型のインクでは、単価がどうしても価格が高くなってしまうが、それを払しょくすべく、新5色インクでは1色1000円前後の価格を実現しつつ、インクの入手性を高めるために販路を現在の1500店舗から2000店舗に広げる。一方で、商品知識がなくても店頭で買えるように量販店での展開をこれまでの3倍に当たる6モデルに強化し、2009年に取り扱い店舗を現在の5倍に相当する750〜1000店舗まで拡大して「手に取ってみてもらうのが大切」であるとした。


インクジェットプリンタの市場自体は、台数ベースでマイナス成長だがHP製品は販売台数を増やしているという(写真=左)。ただし、台数は非公開だ。ユーザーにアンケートを行ったところ、3年以内にプリンタを買い替えるのが約53%と最も多かった(写真=中央)。プリントアウトの枚数を比べると、HP製プリンタは他社に比べて印刷枚数が多い結果が出た(写真=右)
これまでは製品知識がある30〜40代をターゲット層にしていたが、これからは製品を知らない層にも広げていくという(写真=左)。同時に、チャネル展開を強化してユーザーの目に触れる機会を増やしていく計画だ(写真=右)
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