キヤノンは9月17日、デジタルカメラとインクジェット複合機/プリンタの新製品発表会を開催した。デジタルカメラは一眼レフの「EOS 5D Mark II」を筆頭に、コンパクトの「PowerShot」と「IXY DIGITAL」にも新製品が登場、複合機/プリンタの「PIXUS」シリーズには7モデルが投入された。
例年、キヤノンはこの時期にプリンタの新製品を発表しているが、デジタルカメラとの合同発表会は異例だ。発表会で最初に登壇したキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の村瀬治男氏によると、「写真の入口から出口まで、入門からハイアマチュア、プロに至るまで、キヤノンならではのデジタルフォト事業の総合力をより深く理解してもらいたい」との目的で、合同発表会にしたという。
発表された製品は多岐に渡るが、ここではPIXUSシリーズの発表内容に的を絞ってお届けする。なお、PIXUS新製品の詳細はこちらの記事を参照してほしい。
発表会では、キヤノン常務取締役インクジェット事業本部長の清水勝一氏がPIXUS新モデルの特徴を解説した。同氏はまず複合機2007年モデルのミドルレンジ機「PIXUS MP610」が2007年10月の発売以来、国内市場において単独機種で毎月シェア20%を獲得したこと(GfK調査)に触れ、「5人に1人がMP610を選んだ」とその人気ぶりを力説した。
PIXUSの新モデルについては「PIXUS史上、最も小型化されたラインアップの登場」とアピール。単に小さいだけでなく、ボックス型のボディながら角に丸みを持たせて、インテリアと調和する柔らかでやさしげなデザインに仕上げたという。
新モデルには「美しく、速い」と「やさしく、楽しい」の2つのテーマがある。1つめの「美しく、速い」という点では、新型のプリントエンジン、色域を拡大した新型の染料インク、発色や堅牢性を強化した最高グレード光沢紙「キヤノン写真用紙・光沢 プロ プラチナ」の追加、グレーインクを複合機で初めて採用した最上位機「MP980」の投入、「ChromaLife 100+」による写真の保存性向上といった特徴が挙げられた。


新エンジン、新インク、新写真用紙で印刷品質をさらに向上(写真=左)。最上位機のMP980はグレーインクによって、モノクロ写真印刷時の粒状感を減らし、グレーの色調を安定させた(写真=中央)。冷黒調、温黒調といったグレーの色調が微妙に異なるモノクロプリントにも対応する(写真=右)

新モデルの全機が搭載する新染料インクは、特にレッド領域の色域が広がっている(写真=左)。染料インクと純正写真用紙の組み合わせによる写真の長期保存システム「ChromaLife 100」は「ChromaLife 100+」に進化した(写真=中央)。キヤノン写真用紙・光沢ゴールドを使用した場合で、アルバム保存性は300年以上、耐光性(キセノン光)は約40年、耐ガス性(混合ガス)は約20年をうたう(写真=右)また、清水氏はPIXUSの基本的な製品コンセプトを「写真でも文書でも常にきれいに印刷できる」「印刷品位を保ちつつ、高速に出力できる」「この2つをデフォルトの設定で実現できる」の3つとし、MP980が従来機から印刷速度を向上させたことや、2005年以降カタログ記載の写真印刷速度として「標準」設定による出力結果を採用していること、顔料インクと1パス双方向プリントヘッドにより標準設定でも高品位な普通紙印刷が高速に行えることを強調した。
現状では、普通紙印刷の性能評価方法がメーカーによって異なるが、今後はユーザーにとって分かりやすいように、文書印刷も標準設定で性能を表現し、文書印刷における性能評価の標準化を推進していくという。


MP980はL判フチなしの写真印刷を約17秒、A4フチありの写真印刷を約40秒で行える(写真=左)。PIXUSはユーザーにとって分かりやすい性能表現を目指す一環として、カタログ記載の写真印刷速度は「高速」設定ではなく、「標準」設定を採用している(写真=中央)。キヤノンは文書印刷における性能評価の標準化を推進していくという(写真=右)2つめの「やさしく、楽しい」という点では、カードスロットにメモリカードを装着すると、カード内の画像を自動的に液晶モニタに表示する機能や、自動写真補正機能の強化、ボディの小型化、環境への配慮、ユーザーのプリンタ利用を促進する素材集サイト「クリエイティブパーク」のリニューアルといったトピックが当てはまるとした。


メモリカードを装着すると、カード内の画像が液晶モニタに自動で表示されるようになり、ダイレクト印刷を行なうまでの作業が7ステップから4ステップに短縮された(写真=左)。自動写真補正機能は、かんたん写真焼き増し、手書きナビ、フィルムプリントといった機能にも対応(写真=中央)。カード/カメラダイレクト印刷や「Easy-PhotoPrint EX」では、自動補正機能で赤目補正が可能になった。売れ筋モデルのMP630は前モデルのMP610と比較して、奥行きを21ミリ、高さを12ミリ削減した(写真=右)なお、製品のプロモーションについては、「“使う”プリンタから“楽しむ”プリンタへの進化」を目指し、PIXUSシリーズに“PHOTO LIFE PLAYER”の愛称と、“PLAY! PIXUS”のキャッチフレーズを付加して広告展開を行なう。CMキャラクターは、山田優さん、蒼井優さん、夏帆さんによる“橘家の三姉妹”が引き続き担当する。
キヤノンは、複合機/プリンタのフルモデルチェンジと、こうしたプロモーション展開などの施策により、国内における家庭用プリンタ市場で50%のシェア獲得を目標に掲げている。


PIXUSは“SUPER PHOTO BOX”から“PHOTO LIFE PLAYER”へ(写真=左)。山田優さん、蒼井優さん、夏帆さんによる“橘家の三姉妹”はCM撮影時のエピソードや、普段の生活でPIXUSを活用していることを語った(写真=中央)。国内における家庭用プリンタ市場で50%のシェア獲得を目指す(写真=右)
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