キヤノンは5月14日、新開発のインクシステムで普通紙印刷の品質を高めたビジネス向けA4対応インクジェット複合機「PIXUS MX7600」、5色インクを採用した重量2キロのA4対応モバイルプリンタ「PIXUS iP100」を発表した。いずれも5月下旬に発売する予定だ。標準価格はオープン、同社直販価格はPIXUS MX7600が6万2980円、PIXUS iP100が2万7980円となっている。
PIXUS MX7600は、2008年4月に発売された「PIXUS MX850」の上位モデル。A4用紙を35枚積載可能な両面ADF、100BASE-TXの有線LAN、スーパーG3対応FAXといった機能を備え、主にSOHOユーザーをターゲットにしている。
特徴は、5色顔料インク(C/M/Y/BK/PBK)と独自のクリアインクを組み合わせた新しい6インクシステム「PgR」(Pigment Reaction)を採用したことだ。普通紙を印刷する場合、内蔵のローラーで透明のクリアインクを紙全面に薄く均一に塗布した後、通常のインクジェットプリンタと同様に顔料インクを吐出することで、クリアインクの多価金属イオンとインクの顔料成分が反応し、インクは顔料と水分に分離され、顔料を紙の表面に定着させたまま、クリアインクとインクの水分は浸透しながら蒸発する。この仕組みにより、顔料インクが普通紙表面に定着して高発色かつシャープな画質が得られるほか、耐水性も高めた。
クリアインクは普通紙印刷時に必ず塗布される仕様だが、専用紙では最初から用紙表面にインクが定着しやすいので塗布されない。普通紙の自動両面印刷時には、用紙両面にクリアインクが塗布される。なお、クリアインクが塗布された状態の普通紙でも通常と同じようにペンなどで書き込むことが可能だ。
ノズル数はシアンとマゼンタが各1024ノズル、残る3色が各512ノズルを搭載。最高印刷解像度は4800×1200dpi、最小インク滴は2ピコリットルとなっている。L判フチなし写真印刷の速度は1枚あたり約36秒、A4普通紙印刷のインクコストは1枚あたり約7.1円、L判写真印刷のインク/用紙合計コストは1枚あたり約13.9円(写真用紙は光沢ゴールド使用)だ。
給紙機構は、前面に150枚収納できる普通紙用カセット、背面にはがきや各種写真用紙用のトレイを装備する一方、CD/DVDレーベル印刷には対応していない。スキャナは光学解像度4800×9600dpiのCISセンサタイプを装備し、ADF使用時の光学解像度は600×600dpiだ。
液晶モニタのサイズは1.8インチ。インタフェースはPC接続用のUSB 2.0、デジタルカメラ接続用のPictBridge対応USB、コンパクトフラッシュ/メモリースティックPRO/SDメモリーカード(SDHC対応)などに対応したカードスロットを備えている。本体サイズは500(幅)×535(奥行き)×257(高さ)ミリ、重量は約16.6キロだ。
※記事初出時、カラーインクの構成を「4色顔料インク(C/M/Y/顔料BK)と染料ブラック」と記載していましたが、「5色顔料インク(C/M/Y/BK/PBK)」の誤りでした。BKとPBKは濃度の違う顔料ブラックインクです。おわびして訂正させていただきます。
PIXUS iP100は、2007年4月に発売された「PIXUS iP90v」の後継となるA4対応モバイルプリンタ。従来の顔料ブラックと3色カラー(C/M/Y)のインク構成に、染料ブラックインクを加えることで、顔料ブラックインクによるシャープなテキスト印刷と、染料ブラックインクによる滑らかな階調で高コントラストな写真印刷を両立した。
ノズル数はシアンとマゼンタが各512ノズル、イエローと染料ブラックが各256ノズル、顔料ブラックが320ノズルを搭載。最高印刷解像度は9600×2400dpi、最小インク滴は1ピコリットルとなっている。L判フチなし写真印刷の速度は1枚あたり約42秒、A4普通紙印刷のインクコストは1枚あたり約13.4円、L判写真印刷のインク/用紙合計コストは1枚あたり約16.7円(写真用紙は光沢ゴールド使用)だ。
インタフェースはPC接続用のUSB 2.0、デジタルカメラ接続用のPictBridge対応USB、赤外線通信(IrDA)を標準で搭載するほか、オプションでBluetoothユニット「BU-30」を用意している。電源はACアダプタを用いるが、バッテリーとバッテリーチャージャーをセットにしたオプションのポータブルキット「LK-62」を購入すれば、バッテリー駆動で約290枚の印刷が可能だ。本体サイズは322(幅)×185(奥行き)×61.7(高さ)ミリ、重量は2キロ。
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