日本ヒューレット・パッカードは9月29日、「HP Photosmart」シリーズの個人向けA4複合機3モデルおよびA4ダイレクトプリンタ1モデルを発表した。10月9日より順次発売する予定だ。ドライバの対応OSはWindows XP/Vista、Mac OS X 10.4以降となっている。
注目は複合機の上位2モデル「HP Photosmart C6380 All-in-One」「HP Photosmart C5380 All-in-One」とA4ダイレクトプリンタ「HP Photosmart D5460」に搭載された新開発のプリントエンジンだ。従来モデルは上位機が2色のライトインクを含む染料6色インクシステム、下位機が染料3色+顔料ブラック/染料6色の交換式インクシステムを用いていたが、新型のプリントエンジンは、顔料ブラック+染料シアン/マゼンタ/イエロー/ブラックで構成される5色独立インクシステムを新たに採用した。ちなみに、下位の複合機「HP Photosmart C4580 All-in-One」は従来からの染料3色+顔料ブラック/染料6色の交換式インクシステムを継承している。
新開発のプリントエンジンはインク滴の微細化が大きな特徴だ。従来モデルは最小インク滴が5ピコリットルだったのに対し、新型のインクシステムは染料インクを1.3ピコリットルと5.2ピコリットルの2つの大きさで打ち分ける「デュアルドロップボリュームテクノロジー」を導入することで、ライトインクを省きながらも、写真印刷時の粒状感を低減した。同時に顔料ブラックインクを標準装備し、普通紙へシャープでにじみの少ない文字印刷が行える(顔料ブラックは13.5ピコリットル)。
プリントヘッドは顔料ブラック用に720ノズル、染料インク各色用に672ノズルの計3408ノズルを搭載し、レジスタは36kHzで駆動する。L判フチなし印刷の速度は最速15秒をうたう。インク滴の微細化とともに、最高解像度9600×2400dpiでの印刷を実現(アドバンスフォト用紙に「最大dpi」設定で600dpi以上の高解像度画像をプリントする場合)したほか、ハーフトーンのアルゴリズムを改良し、インク滴の重なりを最小限に抑えつつ階調性を向上した。耐久性については、アドバンスフォト用紙を使った場合、ガラスフレーム下で65年の耐光性を達成したという。
インクカートリッジは標準容量に加えて、XL(増量)タイプを用意。10月9日に発売されるフォトパック(4色染料インク+アドバンスフォト用紙200枚のセット)を利用した場合、L判写真1枚あたりの印刷コストは約19.6円になる。インクカートリッジとプリンタが直接通信し、レジスタを加熱するのに必要なエネルギー量を正確に調整することで、プリントヘッドの寿命を長持ちさせる機能や、インク残量を10%刻みのグラフで表示したり、インク残量低下メッセージを表示する機能を持つ「Smart Printing Technology」も備えている。
なお、従来の染料インク6色機は独自のスケーラブル・プリンティング・テクノロジー(SPT)によるインクのリサイクルシステムを内蔵していたが、新型のプリントエンジンには搭載されていない。前述のSmart Printing Technologyも略すとSPTとなるが、スケーラブル・プリンティング・テクノロジーとは異なるものだ。
ソフトウェア面では、複数のWebページから必要な部分を切り出してレイアウト印刷できる「HP Smart Web Printing」がバージョン4.0となり、Internet Explorer 6/7に加えて、Firefox 2.0.0xに対応した(Firefox 3は後日対応の予定)。
A4インクジェット複合機の新ラインアップは前述の通り、上からHP Photosmart C6380 All-in-One、HP Photosmart C5380 All-in-One、HP Photosmart C4580 All-in-Oneの3モデルを10月9日に発売する。2007年10月発売のハイエンド複合機「HP Photosmart C8180 All-in-One」と、2008年8月発売のエントリー複合機「HP Photosmart C4480 All-in-One」「HP Photosmart C4486 All-in-One」は継続販売され、個人向けA4複合機のラインアップは全6モデルとなる。
C6380はヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップで扱われる販売店限定モデル。新型の5色独立インクシステムを採用する。有線/無線LANインタフェースを標準装備するほか、前面にはPictBridge用のUSBポートも持つ。スキャナはCISセンサを用いたもので、光学解像度4800dpiだ。チルト式の2.4型カラー液晶モニタを搭載する。
C5380はC6380から有線/無線LAN機能を省く代わりに、CD/DVDレーベル印刷機能を追加したモデル。C6380と同様、新型の5色独立インクシステムを備えているが、普通紙の印刷速度は少し遅くなっている。こちらは日本HP直販のHP Directplusおよびパートナー店で販売される。なお、C6380とC5380のPictBridge対応USBポートには、オプションのBluetoothアダプタも装着可能だ。
C4580は旧来からの4色/6色交換式インクシステムを継承しつつ、無線LANインタフェースを標準装備したモデル。インクカートリッジは上位2モデルのような各色独立式ではなく、染料3色と顔料ブラック(もしくは染料ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ)の2カートリッジ構成だが、片方がインク切れになった場合、もう片方のインクで印刷できる「インクバックアップ印刷」機能に対応する。CD/DVDレーベル印刷機能やPictBridge用のUSBポートはなく、スキャナは1200dpiのCISセンサ、液晶モニタは固定式の1.5型を採用するなど、上位2モデルとはスペックに差が付けられている。こちらも日本HP直販のHP Directplusおよびパートナー店で販売される。
3モデルともボディは前面給排紙機構を採用。セットした用紙の種別とサイズを自動認識する機能も健在だ。さらにC6380とC5380の給紙機構は、A4用紙をセットするメイントレイと、はがきやL判をセットするフォトトレイの2段式となっている。ただし、日本HPが従来機で採用していた自動両面印刷の機能は省かれている。
複合機新モデルのラインアップ | |||||
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モデル名 | C6380 | C5380 | C4580 | ||
実売価格 | 2万円台後半 | 2万2890円 | 1万6800円 | ||
発売予定日 | 10月9日 | 10月9日 | 10月9日 | ||
液晶モニタ | 2.4型 | 2.4型 | 1.5型 | ||
インク | 染料4色+顔料Bk | 染料4色+顔料Bk | 染料3色+顔料Bk/染料6色交換式 | ||
ノズル数 | C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル | C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル | C/M/Y/染料Bk/PC/PM×各200ノズル、顔料Bk×672ノズル | ||
最高解像度 | 9600×2400dpi | 9600×2400dpi | 4800×1200dpi | ||
最小インク滴 | 1.3ピコ | 1.3ピコ | 5ピコ | ||
2Way給紙 | ○(前面2段) | ○(前面2段) | − | ||
スキャナ | 4800×9600dpi(CIS) | 4800×9600dpi(CIS) | 1200×2400dpi(CIS) | ||
メモリカードリーダー | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD | ||
PictBridge | ○ | ○ | − | ||
PC接続インタフェース | 100BASE-TX有線LAN、IEEE802.11b/g無線LAN、USB 2.0、Bluetooth(オプション) | USB 2.0、Bluetooth(オプション) | IEEE802.11b/g無線LAN、USB 2.0 | ||
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 452×406×207ミリ | 452×406×207ミリ | 434×290×162ミリ | ||
重量 | 約7.5キロ | 約7.5キロ | 約5.1キロ | ||
複合機新モデルのラインアップ | |||||
モデル名 | C6380 | C5380 | C4580 | ||
自動両面印刷 | − | − | − | ||
CD/DVDレーベル印刷 | − | ○ | − | ||
カード/カメラダイレクト印刷 | ○ | ○ | ○/− | ||
自動用紙認識 | ○ | ○ | ○ | ||
自動写真補正 | ○ | ○ | ○ | ||
退色復元スキャン | ○ | ○ | ○ | ||
フィルムスキャン | − | − | − | ||
ネットワーク | 有線LAN/無線LAN | − | 無線LAN | ||
複合機新モデルの印刷速度 | |||||
モデル名 | C6380 | C5380 | C4580 | ||
L判フチなし印刷速度 | 約15秒 | 約15秒 | 約21秒 | ||
A4普通紙最速印刷 | カラー31ppm/モノクロ33ppm | カラー30ppm/モノクロ31ppm | カラー23ppm/モノクロ30ppm | ||
※「実売価格」の項目に記載した価格は、C6380のみ量販店での予想実売価格、C5380とC4580はHP Directplusでの直販価格。L判印刷は「アドバンスフォト用紙」を使用した場合 |
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