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日本HP、写真印刷を高画質化した複合機08年モデル新エンジンで国内メーカーに対抗(1/2 ページ)

» 2008年09月29日 13時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]

新プリントエンジンは写真と文書の両方に配慮

プリントエンジンを一新したHP Photosmart C6380 All-in-One

 日本ヒューレット・パッカードは9月29日、「HP Photosmart」シリーズの個人向けA4複合機3モデルおよびA4ダイレクトプリンタ1モデルを発表した。10月9日より順次発売する予定だ。ドライバの対応OSはWindows XP/Vista、Mac OS X 10.4以降となっている。

 注目は複合機の上位2モデル「HP Photosmart C6380 All-in-One」「HP Photosmart C5380 All-in-One」とA4ダイレクトプリンタ「HP Photosmart D5460」に搭載された新開発のプリントエンジンだ。従来モデルは上位機が2色のライトインクを含む染料6色インクシステム、下位機が染料3色+顔料ブラック/染料6色の交換式インクシステムを用いていたが、新型のプリントエンジンは、顔料ブラック+染料シアン/マゼンタ/イエロー/ブラックで構成される5色独立インクシステムを新たに採用した。ちなみに、下位の複合機「HP Photosmart C4580 All-in-One」は従来からの染料3色+顔料ブラック/染料6色の交換式インクシステムを継承している。

 新開発のプリントエンジンはインク滴の微細化が大きな特徴だ。従来モデルは最小インク滴が5ピコリットルだったのに対し、新型のインクシステムは染料インクを1.3ピコリットルと5.2ピコリットルの2つの大きさで打ち分ける「デュアルドロップボリュームテクノロジー」を導入することで、ライトインクを省きながらも、写真印刷時の粒状感を低減した。同時に顔料ブラックインクを標準装備し、普通紙へシャープでにじみの少ない文字印刷が行える(顔料ブラックは13.5ピコリットル)。

 プリントヘッドは顔料ブラック用に720ノズル、染料インク各色用に672ノズルの計3408ノズルを搭載し、レジスタは36kHzで駆動する。L判フチなし印刷の速度は最速15秒をうたう。インク滴の微細化とともに、最高解像度9600×2400dpiでの印刷を実現(アドバンスフォト用紙に「最大dpi」設定で600dpi以上の高解像度画像をプリントする場合)したほか、ハーフトーンのアルゴリズムを改良し、インク滴の重なりを最小限に抑えつつ階調性を向上した。耐久性については、アドバンスフォト用紙を使った場合、ガラスフレーム下で65年の耐光性を達成したという。

 インクカートリッジは標準容量に加えて、XL(増量)タイプを用意。10月9日に発売されるフォトパック(4色染料インク+アドバンスフォト用紙200枚のセット)を利用した場合、L判写真1枚あたりの印刷コストは約19.6円になる。インクカートリッジとプリンタが直接通信し、レジスタを加熱するのに必要なエネルギー量を正確に調整することで、プリントヘッドの寿命を長持ちさせる機能や、インク残量を10%刻みのグラフで表示したり、インク残量低下メッセージを表示する機能を持つ「Smart Printing Technology」も備えている。

 なお、従来の染料インク6色機は独自のスケーラブル・プリンティング・テクノロジー(SPT)によるインクのリサイクルシステムを内蔵していたが、新型のプリントエンジンには搭載されていない。前述のSmart Printing Technologyも略すとSPTとなるが、スケーラブル・プリンティング・テクノロジーとは異なるものだ。

 ソフトウェア面では、複数のWebページから必要な部分を切り出してレイアウト印刷できる「HP Smart Web Printing」がバージョン4.0となり、Internet Explorer 6/7に加えて、Firefox 2.0.0xに対応した(Firefox 3は後日対応の予定)。

複合機は3モデルを投入、最上位機は据え置き

 A4インクジェット複合機の新ラインアップは前述の通り、上からHP Photosmart C6380 All-in-One、HP Photosmart C5380 All-in-One、HP Photosmart C4580 All-in-Oneの3モデルを10月9日に発売する。2007年10月発売のハイエンド複合機「HP Photosmart C8180 All-in-One」と、2008年8月発売のエントリー複合機「HP Photosmart C4480 All-in-One」「HP Photosmart C4486 All-in-One」は継続販売され、個人向けA4複合機のラインアップは全6モデルとなる。

左から、HP Photosmart C6380 All-in-One、HP Photosmart C5380 All-in-One、HP Photosmart C4580 All-in-One

 C6380はヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップで扱われる販売店限定モデル。新型の5色独立インクシステムを採用する。有線/無線LANインタフェースを標準装備するほか、前面にはPictBridge用のUSBポートも持つ。スキャナはCISセンサを用いたもので、光学解像度4800dpiだ。チルト式の2.4型カラー液晶モニタを搭載する。

 C5380はC6380から有線/無線LAN機能を省く代わりに、CD/DVDレーベル印刷機能を追加したモデル。C6380と同様、新型の5色独立インクシステムを備えているが、普通紙の印刷速度は少し遅くなっている。こちらは日本HP直販のHP Directplusおよびパートナー店で販売される。なお、C6380とC5380のPictBridge対応USBポートには、オプションのBluetoothアダプタも装着可能だ。

 C4580は旧来からの4色/6色交換式インクシステムを継承しつつ、無線LANインタフェースを標準装備したモデル。インクカートリッジは上位2モデルのような各色独立式ではなく、染料3色と顔料ブラック(もしくは染料ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ)の2カートリッジ構成だが、片方がインク切れになった場合、もう片方のインクで印刷できる「インクバックアップ印刷」機能に対応する。CD/DVDレーベル印刷機能やPictBridge用のUSBポートはなく、スキャナは1200dpiのCISセンサ、液晶モニタは固定式の1.5型を採用するなど、上位2モデルとはスペックに差が付けられている。こちらも日本HP直販のHP Directplusおよびパートナー店で販売される。

 3モデルともボディは前面給排紙機構を採用。セットした用紙の種別とサイズを自動認識する機能も健在だ。さらにC6380とC5380の給紙機構は、A4用紙をセットするメイントレイと、はがきやL判をセットするフォトトレイの2段式となっている。ただし、日本HPが従来機で採用していた自動両面印刷の機能は省かれている。

複合機新モデルのラインアップ
モデル名 C6380 C5380 C4580
実売価格 2万円台後半 2万2890円 1万6800円
発売予定日 10月9日 10月9日 10月9日
液晶モニタ 2.4型 2.4型 1.5型
インク 染料4色+顔料Bk 染料4色+顔料Bk 染料3色+顔料Bk/染料6色交換式
ノズル数 C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル C/M/Y/染料Bk×各672ノズル、顔料Bk×720ノズル C/M/Y/染料Bk/PC/PM×各200ノズル、顔料Bk×672ノズル
最高解像度 9600×2400dpi 9600×2400dpi 4800×1200dpi
最小インク滴 1.3ピコ 1.3ピコ 5ピコ
2Way給紙 ○(前面2段) ○(前面2段)
スキャナ 4800×9600dpi(CIS) 4800×9600dpi(CIS) 1200×2400dpi(CIS)
メモリカードリーダー CF、MS、SD、xD CF、MS、SD、xD CF、MS、SD、xD
PictBridge
PC接続インタフェース 100BASE-TX有線LAN、IEEE802.11b/g無線LAN、USB 2.0、Bluetooth(オプション) USB 2.0、Bluetooth(オプション) IEEE802.11b/g無線LAN、USB 2.0
サイズ(幅×奥行き×高さ) 452×406×207ミリ 452×406×207ミリ 434×290×162ミリ
重量 約7.5キロ 約7.5キロ 約5.1キロ
複合機新モデルのラインアップ
モデル名 C6380 C5380 C4580
自動両面印刷
CD/DVDレーベル印刷
カード/カメラダイレクト印刷 ○/−
自動用紙認識
自動写真補正
退色復元スキャン
フィルムスキャン
ネットワーク 有線LAN/無線LAN 無線LAN
複合機新モデルの印刷速度
モデル名 C6380 C5380 C4580
L判フチなし印刷速度 約15秒 約15秒 約21秒
A4普通紙最速印刷 カラー31ppm/モノクロ33ppm カラー30ppm/モノクロ31ppm カラー23ppm/モノクロ30ppm
※「実売価格」の項目に記載した価格は、C6380のみ量販店での予想実売価格、C5380とC4580はHP Directplusでの直販価格。L判印刷は「アドバンスフォト用紙」を使用した場合

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