バンプレストがコンビニエンスストアで販売している「一番くじ」をご存じだろうか。特定のアニメキャラクターにフィーチャーしつつ、景品にはそこはかとなく実用的なアイデアグッズをそろえた大人向けのコンビニくじ。1回500円と少々高いが、くじならではのゆるいギャンブル性も魅力である。
一番くじはさまざまなアニメをモチーフにしており、「機動戦士ガンダム」――いわゆるファーストガンダムは昨年の「脱戦士編」に続き3作目。今回は、シャア・アズナブルが主役の「赤い彗星(すいせい)編」だ。
シャア・アズナブルといえば、主人公のライバルとして登場した敵役でありながら、多くの名セリフとともにシリーズを通じて絶大なる人気を誇るキャラクター。子どもっぽい主人公に対し、クールで計算高い“大人の男”として描かれ、その言動は多くの人たちに影響を与えた。
くじの景品は、アニメの名シーンやシャアの名セリフを生かしたものばかり。指揮官機の証(あかし)である角がぶるぶる震えて日常のストレスをほぐしてくれる「赤い彗星アズナぶる×2」、ガウ攻撃空母でコムサイを収容するシーンが再現できる「測ったなシャア!メジャー」など、知っている人なら思わずニヤリとすることだろう。
ファースト世代が大多数を占める+D編集部は、昨年に続いて意気揚々。発売のニュースが流れるとともに「通常の3倍の速さで在庫切れにしてやる」と意気込んでいた。
ところが、発売日(11月)をすぎても、最寄りのコンビニになかなか入荷されない。12月になっても見かけない。どうやら、一番くじの取り扱いをやめてしまったらしい。
先の大戦の影響か。オジサンたちがくじをひく姿がいけなかったのか。理由は分からないが、これでは何も始まらない。編集部の中に、まるでIT戦士か、節約戦士のような自虐的な空気が流れていた。
ふと顔を上げると、営業部Mが立っている。彼は昨年の「V作戦」を指揮した戦友であり、当たった景品を記事のために寄付してくれる大事なスポンサーでもある。
彼は先ほど帰宅したはず。それなのに、手にビニール袋をさげ、部下である新人営業部員Oを引き連れて、妙にニヤニヤしながら戻ってきた。
――なぜ、会社に戻ってきたのです?
「君を笑いに来た」
――そのセリフは「Zガンダム」ですけど
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