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価格に見合った満足度、ヤマハの準フラグシップ「DSP-Z7」AVアンプ特集(3/4 ページ)

» 2009年03月19日 12時19分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

サウンドチェック

 細やかで丁寧、ヤマハらしい繊細さを持つサウンドというのが第1印象。音色の表現も多彩かつ的確で、ハリウッド映画からライブ映像まで、それぞれの持ち味を充分に楽しむことができる素直なサウンドだ。例えばBD「300」では、空から振ってくる矢の刺さる音が1本1本異なっていることまで教えてくれるし、「ダイハード4.0」では銃弾の壁に当たる音が素材によって変えていることまで分かるようになる。この描き分けがリアルさを生み、さらに臨場感を高める。

photophoto Z11と同様に1ポイントにつき3ポジションで計測することによって、より正確な自動音場調整が行えるシステムが付属する(左)。自動音場調整機能の結果はグラフで表示される。こちらの画面から手動による微調整も行える

 空間表現に関しては、さすがヤマハというべき上質さを誇る。自動音場調整機能を行った後であれば、360度切れ目のないサラウンド空間が広がってくれる。また左右だけでなく、上下の定位マッチンクも見事で、まるでスクリーンに映った俳優の口から台詞が聞こえているかのようだった。

 この空間表現の素晴らしさに味を占め、外部アンプとスピーカーを用意して9.1チャンネルの「シネマDSP3」も試してみた。結果としては、定位感はそのままに、上方向への音の広がりが増したと行ったイメージ。これまでは天井から少し下を上限とした空間表現であったものが、まるで天井がないかのように、上方向の広がりに全くストレスがなくなった。音のピントが僅かながらも甘くなるため、好みが分かれるかもしれないが、魅力的な空間表現だと思う。

 さらに驚いたのが、音の統一性だ。今回の試聴では7.1チャンネルシステムを基本としていたため、9.1チャンネルまで製品の用意がなく、アンプもスピーカーも手元にあった適当なもの(アンプはデノン「AVC-A1SR」、スピーカーは「SOLID MONITOR」)を使ったのだが、音色、空間表現ともにまったく違和感がなかった。SOLID MONITORはブックシェルフ型のモニタースピーカーだけあってそれほどクセはないのだが、それでもこの統一感は素晴らしい。思わぬところでZ7の異なる魅力をかいま見る結果となった。

 最後にピュアダイレクトモードの効果について触れておこう。こちらを利用すると、音の階調性が高まり、木目が細やかになる。しかしながらZ7はもともと細やかで丁寧なサウンドを持ち合わせているため、ピュアダイレクトモードでなくてもほとんどの人が不満を持たないはず。CDなどのステレオソースのみに利用するのが得策だろう。

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