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もっとも安い「フルバンド・フェイズコントロール」対応機、パイオニア「SC-LX71」AVアンプ特集(2/4 ページ)

» 2009年04月24日 18時06分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 デザイン的な特徴もさることながら、スペックにもパイオニアならではのユニークさが随所に垣間見られる。例えばパワーアンプは、ICEpowerと共同開発した「ダイレクト エナジーHDアンプ」。高音質と高効率をうまく両立させ、7チャンネル・計630ワットというトータルパワーを実現している。サウンドクオリティーに関するこだわりも強く、低ジッター高精度を誇るクロック信号「PQLS機能」やウォルフソンのDAコンバーター、フリースケール製DSPを2基搭載した「2デジタルコアエンジン」など、厳選された高音質パーツを随所に採用した。さらに英国の世界最高峰の録音スタジオ「Air Studios」のエンジニアによるチューニングによって、小音量再生時においてもシアター空間のようなダイナミックな臨場感が得られるTHXの最新規格「THX Loudness Plus」にも対応している。

photophoto リモコンは本体と共通のデザインアイデンティティーが与えられたスマートなタイプ。部分的にメッキが施されたボタンを使っており、見栄えはかなりいい。細身のためボタンは小さいものの操作性も悪くない。リモコンには液晶画面が用意されているほか、ボリュームコントロールなどのボタンが青く輝くため、暗闇での使い勝手も悪くない

 いまやAVアンプの定番機能となりつつある自動音場調整機能だが、その先駆者であるパイオニアだけに、ほかにはない個性的な機能が用意されている。「Advanced MCACC」と呼ばれている独自の調整機能に加えて、各スピーカーユニットの位相ズレまで整える「フルバンド・フェイズコントロール」を搭載。スピーカー自身の物理的な“悪癖”までも吸収し、整然としたサウンドフィールドを誕生させることができるという(→スピーカーの“群遅延”を解消する「フルバンド・フェイズコントロール」とは?)。

 ちなみにこの機能は、SC-LX90で初めて採用されたもので、SC-LX71が最下級グレードとなる。VSA-LX51にも同等の機能が搭載されているが、こちらは低域をコントロールするのみで“フルバンド”ではない。個性の強い手持ちのスピーカーや、複数メーカーのスピーカーでマルチチャンネルシステムを構築しようとする人には、大変重宝するはずだ。

ユーザビリティーをチェック

 ずいぶんと洒落た、かつすっきりしたシンプルなデザインにまとめられたフロント操作部は使い勝手も上々。カバーパネル内にはボタンが効率よく配置され、もしリモコンが手元になくとも操作は不自由なく行える。またカバー内にはビデオ入力のほかにUSB端子も用意されているため、USBメモリやiPodなどの音楽を手軽に再生できる点もうれしい。ちなみにiPodに関しては、SC-LX90などと同様のデジタル接続となっているため、音質的にもかなり高いクオリティーを期待できる。そのほかLANでPCと接続すれば、HDD内の音楽データやJPEG写真(残念ながら動画は不可)も再生できるなど、AVアンプというよりも、マルチメディアセンターと呼んだ方がよい多機能ぶりを誇る。

 リアパネルに目を移すと、多様な端子が数多く並んでいることに気がつく。そのうちHDMIに関しては入力が4、出力が1とこのクラスでは平均的な数がそろっており、ほとんどのユーザーは不満に思わないはず。テレビとプロジェクターを切り替えて使いたい(2系統の出力端子がほしい)人には不満を残るかもしれないが、その場合は上位機種「SC-LX81」も検討したい。

photophoto D端子やコンポーネント端子など、多数の入出力端子が用意されたリアパネル。それぞれの端子が整然と並んでいるが、なかでもカテゴリごとにスペースを空けたスピーカー端子のレイアウトは秀逸。設置はとてもやりやすかった。HDMI端子は入力4系統。HDMI出力は1系統のみとなるため、テレビとプロジェクターを同居させたい人は不満が残るかもしれない

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