ITmedia NEWS >

基本性能アップ、録画テレビとしての魅力も増したプラズマ“Wooo”山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.45(2/2 ページ)

» 2010年04月14日 08時00分 公開
[山本浩司,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

映像と音声の進化

 新しい番組表も面白い。画面全体に8局5時間分の番組がグレーベースで一括表示され、映画、ドラマ、スポーツ、アニメ、音楽と5ジャンルで色分けすることができる。そして録画予約が済んだ番組には、フリーハンドっぽい赤丸がつけられる仕様だ。

photophoto 映画、ドラマ、スポーツ、アニメ、音楽と5ジャンルで色分けされた電子番組表(左)。録画予約が済んだ番組には、フリーハンドっぽい赤丸がつけられる(右)

 では画質面の進化に触れよう。昨年のモデルで日立は、コンテンツと照度環境に合わせて最適画質を提供する自動画質調整機能を初搭載したが、今回のXP05では、この機能に日立オリジナルの超解像技術「PixelManager」(ピクセルマネージャー)を融合、よりきめ細かな制御を可能にした「インテリジェント・オート高画質2」に進化させた。

photo 超解像技術「PixelManager」(ピクセルマネージャー)は5段階の設定が可能

 具体的には、部屋の明るさと照明の色温度、入力された映像の平均輝度レベルとヒストグラム、それにジャンル情報を解析、超解像処理を加えたり、輪郭部で目立つ細かなモスキートノイズや圧縮映像特有のブロックノイズを抑えるノイズリダクションを効かせたり、カラーマネージメント機能を用いて色の最適化を行なったりと、じつに高度な信号処理が施されているのだ。

 インテリジェント・オート高画質2への進化に応じて映像モードの考え方も改められ、自動調整画質モードである「センサーオート」の内容がよりきめ細かくなった。まず環境照度が800ルクスを超えるような場合は、店頭展示を想定した派手めの「ス−パー」モードとなり、そこから照度が下がるにつれて、よりナチュラルな「リビング」モードに画調は変化していく。そして、環境照度が一般のリビング照度である300ルクス以下になると、入力信号が60iのビデオ収録ソースか24pまたは2-3プルダウン処理のフィルムソースかを判別し、前者は「リビング」、後者は「リビングシアター」または「シアタープロ」モードの画質にアジャストしていくのである。「リビングシアター」か「シアタープロ」かは環境照度によって決定され、150〜300ルクス環境では前者、それ以下では後者の映像モードのよりしっとりした画調となる。

 薄型テレビ共通の弱点だった音質にもメスが入れられた。6×12センチの楕円スピーカー(50V型の場合)を画面下部にステレオ配置、前面に微細孔加工を施した広面積のパンチングメタルをかぶせて音ヌケをよくしたこと。それに加えてスピーカーから放射される球面波を点ではなく面で捉えて、そのエネルギー全体を補正するリアルサウンドラボ(ラトヴィア)の音響パワーイコライジング技術「CONEQ」(コネック)を採用、より本格的な周波数バランスと力感の獲得を目指したという。

photophoto 楕円スピーカーを画面下部にステレオ配置、前面に微細孔加工を施した広面積のパンチングメタルをかぶせて音ヌケをよくした

 筆者はじつは同社のプロ用イコライザーを自室のCD再生システムで使用しているのだが、その効果は音圧周波数特性をリスニングポイント1点で収録して補正する他社のイコライザーに比べると、音が変におとなしくなることなく、じつに魅力的。とくに小型スピーカーでの音質改善度合いが高く、テレビの音質改善にこれほど効果的な技術はないと思っていただけに、今回の日立の採用は自分のことのようにうれしかった。

 最近お気に入りのBD ROMを再生しながら、P50XP05の実力をチェックしてみたが、Wooo史上最高グレードのパフォーマンスが体感できた。カラーフィルターを前面ガラスに直貼りして光の内部反射を追放した「ダイナミック・ブラックパネル2」の採用により、明るい環境でもしっかりしたコントラストが描けるようになったことも特筆すべきだが、ぼくがいちばん感心したのは、部屋を暗くして「シアタープロ」で観た映画BDの深みのある陰影表現だった。

 色温度を6500ケルビンに、色域をハイビジョン国際規格にアジャストし、2.2乗の基準ガンマを正確にトレースしたその映像は、ホワイトバランスの安定感が出色で、美しい女優さんたちの横顔をこの上なく見事に描写する。また、「シアタープロ」のデフォルトではオフになる「なめらかシネマ」を効かせて観た24p収録のCGアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」の浮遊シーンも素晴らしかった。スムーズに移動する空飛ぶ家が画面からフッと浮き上がるイメージが得られ、これぞ両眼視差に頼らない3D映像だと実感した。

 音質も確かに大幅に向上した。昨年までの製品に比べれば、声に明らかに肉がつき、聴き応えが出てきた。テレビとしてオーバーオールの性能向上に注力した日立XP05シリーズ、この春、大注目のテレビであることに間違いない。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.