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今さら単体チューナーに注目する理由(2)本田雅一のTV Style

» 2010年09月21日 11時55分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 前回は、東芝の“REGZAチューナー”について言及したが、来年のアナログ停波に向け、これから登場してくるデジタルチューナーは、かつての単体デジタルチューナーとは性格が異なるものになりそうだ。

 かつて、BSデジタル放送が開始した頃に発売されていた単体チューナー製品は、どれも放送を見るためだけの製品で付加機能など存在しなかった。しかし、今はテレビにデジタルチューナーが搭載されているのが当たり前で、しかも各製品には付加機能がたっぷり付いてくる。チューナー数や搭載メモリの量といった不確定要素はあるものの、デジタル部の主要ロジックはほとんど統合LSI化されており、コストを意識して機能を取り外す必要はあまりない(もちろん、システムにもよる)。

 そして単体チューナーを作る際、メーカーは開発コストや部品コストを抑え、アセンブルパーツの種類を減らすために、テレビに搭載しているものとなるべく共通のものを使って単体チューナーを開発する。前述したREGZAチューナーがシングルチューナーながらUSB HDD録画機能や超解像の機能を持つのは、その機能を単体チューナーに追加しようとしたというより、最初からコンポーネントがそれらの機能を持っているから、とみていい。

photophoto “REGZAチューナー”こと「D-TR1」は、背面のUSB端子に外付けHDDを接続してハイビジョン録画が可能だ。背面にはHDMI、D端子(D3)、コンポジットの各出力を備え、テレビやPCディスプレイなどに幅広く接続できる

 同様の製品は今後も登場する予定だ。例えば、未発表のある製品は、テレビのハイエンドシリーズとそっくり同じチューナー、録画機能、インターネットアクセス機能、DLNAクライアント機能などを備えるという。

 これらをお気に入りの、まだまだ現役な高画質ブラウン管テレビに使ってもいいし、PC用ディスプレイに接続したいという人もいるはずだ。あるいはDLNAの連携を生かし、寝室のテレビからリビングにあるレコーダーの映像を見るためにチューナーを追加するのもいい。単体のチューナーの価格は2万円以下のものが多いので、すでに使っているディスプレイを生かしつつ、地デジ追加、DLNA機能追加、録画機能追加を行うのにはピッタリなのだ。

 単体チューナーの購入ではエコポイントはつかないし、そもそも消費電力は増えるのではないか? と思う人もいるだろうが、まだ使えるテレビを捨ててしまうのも、環境負荷として大きいといえるのではないだろうか。消費電力の削減分とまだ使えるテレビをゴミとして排出するロスの比較は、そう単純に判断できるものもではない。

 また、昨今よくあるのが、エコポイントのあるうちにより大きなテレビを買い足し、それまで使っていたリビングのテレビを別の部屋に移設するケースだ。移設先がそれなりの大きさの部屋ならば話は別だが、移設先が寝室や書斎といった場合、リビングのテレビではサイズが大きすぎるというケースもあるだろう。そんな場合は、その部屋にあらかじめ存在しているディスプレイ(小型の液晶テレビでもPC用ディスプレイでも構わない)を活用し、それまで使っていたテレビは親類や友人に譲る方が、エコ的にも使い勝手の面でも良いと判断できる場合がある。

 例年の2倍近い台数のテレビが売れている今年。その中ですでに存在しているディスプレイ(テレビ)を有効に活用するツールとしても、最新の単体チューナーの存在は見直すべきだろう。

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