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プラズマクラスターでインフルエンザ感染率を3割減初めての臨床試験

» 2010年11月09日 16時39分 公開
[ITmedia]
photo 東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄 教授

 シャープは11月9日、高濃度プラズマクラスターイオン(イオン濃度10,000個/cm3)がインフルエンザウイルス感染率を低減させる傾向があることを確認したと発表した。

 同社のプラズマクラスターイオン発生装置を使って、初めて臨床試験を実施したのは、東京大学大学院医学系研究科 大橋靖雄教授の研究チーム。腎臓透析を受けている通院患者3407名を対象として、病室内でイオン発生器を置いたエリアと置かないエリアに分け、約半年間にわたって経過を観察した。

 その結果、インフルエンザを発症した件数は、イオン発生器ありのエリアでは9/1154件、なしのエリアでは14/1274件で、「高濃度プラズマクラスター技術により、インフルエンザウイルス感染率30%低減の傾向が確認された」と結論づけた。

photophotophoto プラズマクラスター技術と臨床試験の概要

 試験を実施した昨シーズンはインフルエンザの発症数が少なかったことで、試験結果は統計学的に優位な水準とされる値(p値片側5%)には至っていないが、傾向があるとされる値(p値片側10%)は確認された。

 インフルエンザの一般的な予防法であるうがいや手洗いの効果は30〜40%といわれているが、それと同程度の効果が認められたことについて大橋教授は、疫学研究・臨床研究によるさらなる検証は必要だとしつつも、「プラズマクラスター技術はパブリックヘルスに貢献できる可能性がある」と語った。さらに、今回の臨床試験により人体への効果を実証できたことを受けて、今後は花粉などのアレルギー疾患なども研究テーマとする方針を示した。

 プラズマクラスター技術は、電極に+と−の電圧をかけて空気中の水分子と酸素分子を電気的に分解し、プラスイオン(水素)とマイナスイオン(酸素)を作り出し、これを空中に放出するというもの。両イオンは空気中の水分子に取り囲まれて安定したクラスターイオンになる。これが浮遊するウイルスやカビなどに付着すると、化学反応を起こして水酸基ラジカルを生成。その強い酸化力によってウイルスの触手を破壊し、感染力を抑制する。

photophoto プラズマクラスターイオン発生の仕組み(左)、ウイルスの感染力抑制メカニズム

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