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写真で解説する“BRAVIA”2011年春モデル(画質編)ブラビア史上最高エンジン(1/2 ページ)

» 2011年04月13日 17時15分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニーが3月16日に発表した“BRAVIA”の上位モデルには、「X-Reality PRO」という新しい映像エンジンが採用されている。今年1月に登場した「X-Reality」がほんの数カ月でアップデートされたことになるが、一体何が異なるのか。

フラグシップモデル「KDL-55HX920」(オプションのサウンドバースタンド付き)と「X-Reality PRO」


 既報の通り、X-Reality PROでは、X-Realityに「XCA7」という別のチップを組み合わせて1つの映像エンジンとして動作する。XCA7は、古くからのソニーファンにはおなじみの「DRC」を進化させたもので、複数フレームを用いる「データベース型複数枚超解像」やスムージング、そして同社製Blu-ray Discレコーダーに採用された「SBM(Super Bit Mapping) for VIDEO」といった機能を包含している。

 SBMは、入力された8bitの映像信号を14bit相当に再構成し、その色階調(1万6384階調)を保持したまま映像を出力する技術。空のグラデーションから等高線のような疑似輪郭がなくなるといった効果でおなじみだろう(→ソニー、“2011年画質”のBlu-rayレコーダー6機種を発表)。

データベース型複数枚超解像技術の処理

 内蔵のデータベースと照合して最適な処理を施す「データベース型複数枚超解像技術」では、まず入力映像に対して2段階の分析を行う。最初にフレーム単位で映像を解析し、全体の解像度を推測。その映像がハイビジョンか、スタンダード画質か、IPTVの低解像度映像か、あるいはアップコンバートされたSD映像かなど、細かく分類することができる。

データベースに含まれるパターンは数千。DRCの時代には数百だったものに新規のパターンが加わり、さらに今回は解像度ごとにそれぞれのパターンが用意されている

 次に画素ごとの分析だ。波形を分析し、データベースと照合して最適な処理を加える。ここで先に行ったフレームごとの分析が反映されるわけだが、さらに前後のフレームも参照することで分類の精度を高めている。なお、参照するフレームの数をソニーは明らかにしていないが、「他社より多い」というコメントだけは聞くことができた。

 なお、1月の「EX720シリーズ」で初めて“超解像”をうたった「オブジェクト型超解像」については、X-Realityにその機能が入っているにもかかわらず、X-Reality PRO搭載機では一切使っていない。理由についてソニーは、「すべてにおいてデータベース型の複数枚超解像が上回っているため」と説明した。この思い切りの良さに、新製品の画質に対するこだわりと自信が伺えるようだ。

デモンストレーションの様子。「EX720」(右側)と「HX920」を並べて超解像技術の効果を比較した

 デモンストレーションでは、EX720とHX920を並べて超解像技術の効果を比較することができた。まずDVD相当の映像(BDを480i出力)。桜の木がゆっくりとパンしていくため、細かい花びらの周りにはジラジラとしたノイズが多く発生するが、新製品ではかなりすっきり見える。さらにYouTubeの低解像度映像は、46インチに全画面表示にするとさすがに苦しいものの、実解像度から何段階か拡大しても見るに耐えるものとなった。ソニーによると、データベース型超解像技術は、ソースの解像度が低いほど効果が出やすいという。

X-Realityの効き目は、画質設定の「リアリティークリエーション」の項目で設定できる

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