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ツインドライブによる圧倒的な低音ボリューム、JVC「HA-FXT90」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV review(2/2 ページ)

» 2011年05月16日 18時53分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 ただし、ツインドライバーであるがための難しさも垣間見られた。とくに低域はゆるやかな鳴らし方が裏目に出て、エレキベースやバスドラムの演奏があいまいに聴こえてしまうことがある。アコースティックギターの胴鳴りも、あまり美しい響きとはいえない。中域はそこそこ重奏感があるのに、低域の余剰分がそれをスポイルしてしまうため、本来の良さが生かし切れていないのだろうか。騒音レベルの高い電車内などでは、こういった部分が程度緩和されるものの、それでも完璧とまではいかない。

分解図(左)。ダイヤモンドカットを施された赤いハウジングと赤い編組コードを採用するリミテッドエディション(右)

 また曲調によっては、高域のピーク感も気になる時がある。オペラなどのクラシックを聴くとなかなか良好なバランスと感じるのだが、打ち込み系になると一定の帯域が鋭くなり過ぎるうえ、とても荒々しく聴こえることがあった。そもそもモニター系のヘッドフォンのなかにはそういった傾向を持つ製品も存在するが、やり過ぎの感は否めない。もしかすると、このあたりは使い込みによって徐々に改善されるのかもしれない。

 いずれにしろ、今回試用した「iPod nano」(第6世代)などヘッドフォンアンプ出力が弱いポータブルプレーヤーとの相性はあまりよくなかった。中域が極端に薄くなり、ただのドンシャリになってしまう。せめて「iPod classic」か「WALKMAN Aシリーズ」、できれば「Xシリーズ」あたりと組み合わせて使いたいところだ。希有なシステムを持つ製品だけに、使いこなしにもそれなりのスキルが必要なのかもしれない。そういった注意点を上手くクリアすれば、演奏の楽しさを存分に味わえる製品であることは確かだろう。

音質評価  
解像度感 (粗い−−−○−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−○−−−フラット)
音色傾向 (迫力重視−○−−−質感重視)

型番 HA-FXT90
型式 ダイナミック型
出力音圧レベル 107dB/1mW
再生周波数帯域 8〜2万5000Hz
インピーダンス 12オーム
コード 1.2メートル(Y型)、3.5ミリステレオミニプラグ(24金メッキ)
重量 約6.8グラム(コード含まず)
付属品 シリコンイヤーピース(S、M、L、各2個)、コードキーパー、クリップ、キャリングケース
価格 オープンプライス(実売1万円前後)
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