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USB DACとしても大きく進化したヘッドフォンアンプ「iBasso D5 Hj」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2011年06月29日 12時31分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 一方の背面側は、充電を兼ねたミニUSB入力端子と充電のオン/オフを切り替えるスイッチ(とそれぞれのインジケーター)のみのシンプルなレイアウトとなっている。コンパクト化のためか、D12 Hjのような同軸デジタル/光デジタル入力端子は用意されず、入力系に関してはD2+Hj BOAと同じ。またゲイン/充電スイッチは、金属製のトルグスイッチを使わず、プラスチック製の、しかもスイッチレバーがあまり本体から飛び出ないものが採用されている。一見使いづらそうだが、ポケットやカバンの中などで勝手にスイッチが切り替わることがないため、これはこれでありがたい。

 なお、PC(Windows7)とUSBケーブルで接続すると、自動的に認識された。とくに専用ドライバーなども必要なく、手軽に96kHz/24bitサウンドを楽しめるのはありがたい。またPCとの接続時はフロントパネルの「24bit/192kHz Up-Sampling」インジケーターがブルーに輝く。これがなかなか目立つため、もしD2+Hj BOAも持っている、という人がいても、どちらを接続しているか迷うことはないはずだ。

サウンドの特長

 さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。まずはソニーの“ウォークマン”「Xシリーズ」とWMポートでつなぎ、同じくソニーのイヤフォン「MDR-Z1000」で確認してみることにする。

 一聴してD2+Hj BOAとは別物であることが分かる。D2+Hj BOAはボーカルやメイン楽器が前面に押し出され、勢いとグルーヴ感のよいサウンドを楽しませてくれるが、対してD5 Hjはもう少し冷静で、音楽全体を客観的に演奏してくれるタイプ。解像度感や空間表現がよく、D2+Hj BOAでは勢いに任せて埋もれてしまった細やかなニュアンスまできちんと拾い上げてくれる。

 USB DACとして活用すると、その違いはさらに顕著になる。アップサンプリングの効果もあってか、S/N感が素晴らしく向上、演奏がとてもピュアに聴こえる。おかげでピアノの演奏はホールへの音広がりがよく感じ取れるようになり、アコースティックギターは胴鳴りが豊かに響いてくれる。繊細な表現がなかなか上手な製品といえる。とはいえ、さすがiBassoというべきだろう、他のモデルの特長でもある音の切れのよさやダイナミック感の高さは健在。ハイファイ調一辺倒になってしまうことなく、ハードロックなどではタイトで切れのよいサウンドを楽しませてくれるから面白い。

 確かにD5 Hjは、ヘッドフォンアンプとしてD2+Hj BOAよりも上級といえるサウンドクオリティーを持つ、そしてUSB DACとしてはD12 Hjさえも超えるクオリティーを持つ、優秀な製品といえる。もしUSB DACとしての活用をメインに考えるならば、この3製品のうちD5 Hjを選ぶのがベストだろう。しかし純粋にヘッドフォンアンプとして考えると、D2+Hj BOAやD12 Hjにも替えがたい魅力があるのも確か。どれも優れた製品ゆえに、大いに迷うところなのだが、それもまた楽しい。

  音質評価(USB DAC使用時)
解像度感 (粗い−−−○−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−○−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−○−質感重視)
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