シネックスは7月6日、iPhoneやiPadの映像を投影できるポータブルプロジェクター「SHOWWX+ Laser Pico Projector」を国内販売すると発表した。米MicroVisionが開発・製造する“手のひらサイズ”のプロジェクター。価格はオープンプライスで、店頭では3万9800円になる見込みだ。
iPodやiPadとドック接続するだけで映像を投影できるレーザースキャン方式のフロントプロジェクター。RGBのレーザーで色を作り、ビームをMEMS(Micro-Electro Mechanical System)のマイクロミラーで反射、スクリーン上を順次走査(スキャン)して画面を描画する仕組みだ。瞬間的に表示するのは1ドットのみだが、走査時に行き(向かって右方向)と帰り(左方向)の両方で描画することで60Hzのリフレッシュレートを確保している。
スクリーンまでの距離により、対角15センチから対角2.5メートルまで投影できる。画面解像度はWVGA(848×480ピクセル)、光束は15ルーメンとスペックは控えめながら、「レーザーは拡散が少なくコントラストが高いため、ほかの光源に比べて20〜30%ほど明るく見える」という。
レーザーを使用するメリットとして、色の鮮やかさや高いコントラストといった点が挙げられる。スペックは色域がNTSC比で200%以上、コントラスト比は5000:1。さらに暗い映像ではレーザー自体の出力を絞るため低消費電力といった特長もある。内蔵のリチウムイオンバッテリーは、フル充電の状態から約1.5〜2時間の連続駆動が可能だ。
さらに大きな特長は、フォーカス調整の必要が一切ないこと。「レーザーポインターの点を思い浮かべると分かりやすいが、レーザーでは距離とスポットサイズが比例するため、スクリーンが遠い時も単にドットサイズが大きくなるだけで焦点が狂わない。まるで金太郎飴のように、どこで切ってもしっかりと絵が出る」(日本担当マネージャーの新澤滋氏)。デジタルサイネージなどの用途で湾曲したスクリーンに映し出したり、あるいは衣類のように凸凹の場所に投影する場合でも、フォーカスのあった映像が映し出される。
来日した米MicroVisionのグローバルオペレーション・セールス&マーケティング担当バイスプレジデントのJoe O’Sullivan氏は、携帯電話などに内蔵したものを含むモバイルプロジェクターの市場規模を2015年に2000万台と予測(パシフィック・メディア・アソシエイツ予測)。中でもiPadに代表されるタブレットが市場を牽引(けんいん)すると指摘しており、モバイルプロジェクターを「タブレットのパーフェクトな相棒」(同氏)として訴求する。同社ではプロジェクター本体の開発・製造にくわえ、モバイル機器に内蔵するためのモジュールをセットメーカーにOEM供給も行う。
なお、レーザー光を使用する同機は、レーザーポインターなどと同様、国内では消費生活用製品安全法(経済産業省)の規制対象「携帯用レーザー応用装置」に分類される。もちろん製品版は安全基準をクリアして「PSCマーク」が添付される見通しだが、「レーザー光を直接見たり、他人の顔に向けたりしてはいけない」。
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