ワイヤレスステレオヘッドセット「ATH-BT05」など、ワイヤレス製品をいくつもリリースしているメーカーだけあって、操作感はなかなかにいい。ボリュームだけでなく、バーチャルサラウンドのタイプやバスブーストなども手元で簡単に変更できるのは、とても便利だ。そういった点では、ヘッドフォンタイプ「ATH-DWL5500」よりも扱いやすい(ヘッドフォンに用意されているのは電源のオンオフのみでそのほかの操作はレシーバー部のフロントパネルから行う必要がある)し、ヘッドフォンまわりに操作ボタンを用意したサラウンドヘッドフォンのような扱いづらさもない。
また、ヘッドフォンが着脱できる点もうれしい。手元にあるお気に入りのイヤフォンやヘッドフォンを接続すれば、簡単にワイヤレス化が行えるからだ。もちろん、サラウンド感に関しては専用設計&チューニングされた付属イヤフォンがベストだが、ステレオで音楽や映像を楽しむ分には十分。それよりも、愛用モデルのワイヤレス化が手軽に行える、というメリットの方が重要に感じた。
余談だが、ヘッドフォンを採用する「ATH-DWL5500」とは互換性がない、といったものの、同じ無線方式のワイヤレスを採用するモデル同士のため、認識はされるようだ。ただし、「ATH-DWL5500」のヘッドフォンには操作系が付属していないため、完全な互換とはいえず、使い勝手の面でも不便がありそう。「ATH-DWL3300」にオープンエアー型のヘッドフォンを装着して使う方が、より手軽かもしれない。
さて、肝心のサウンドをチェックしていこう。まずはバーチャルサラウンドをオフにした状態から。
音色傾向を一言で表現するならば、エネルギッシュで、迫力のあるサウンド。解像度感も十分で、ボーカルなどは明瞭度の高い歌声を聴かせてくれる。基本手なキャラクターは「元気の良い音」だが、それでいて細部の表現もしっかりできているという点には、とても好感が持てる。
一方、バーチャルサラウンドをオンにすると、とたんに空間表現が大きく広がってくれる。「ATH-DWL5500」とまでは行かないが、スムーズな空間表現だ。解像度感がオフに対してわずかに下がったようにも感じるが、映画などのコンテンツを見る限り、全くといっていいほど気にならない。逆にいえば、イヤフォンでここまでのものが体感できること自体が十分な魅力だ。室内で使われることを前提に、多少の音漏れもやむなし、それよりも空間的な広がり感やストレスのない伸びやかなサウンドを目指したというが、そういったコンセプトが如実に表れた。
意外に効果的だったのが、バスブーストだ。こちらをオンにすると、サウンドの迫力が増すだけでなく、抑揚表現が一段と躍動的になってくれる。しかも、付属のイヤフォンが比較的ソリッドな低域を持つため、膨らみすぎることもなく、声やメイン楽器など肝心なパートをマスクすることもない。絶妙なセッティングといえるだろう。
このように「ATH-DWL3300」は、バーチャルサラウンドヘッドフォンとしてなかなかに優秀であるだけでなく、手軽な操作感と、さらには愛用のイヤフォン/ヘッドフォンを手軽にワイヤレス化できるという恩恵も含め、なかなかに魅力的な、使い勝手の良いモデルといえるだろう。
音質評価 | |
---|---|
解像度感 | (粗い−○−−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
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