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30年の集大成、デノンからハイエンドSACDプレーヤー「DCD-SX1」

» 2013年08月21日 22時53分 公開
[ITmedia]

 デノンは8月21日、SACDプレーヤーのフラグシップモデル「DCD-SX1」を発表した。1982年に世界初の民生用CDプレーヤー「DCD2000」を発売した同社が、「デジタルオーディオの集大成。31年かけて作り上げたようなCDプレーヤーとして提案したい」という意欲作だ。9月中旬に発売する予定で、価格は57万7500円。

「DCD-SX1」

 2008年に登場した「DCD-SX」の後継機。同社が培ってきたビット拡張&データ補完技術の最新型「Advanced AL32 Processing」、およびジッターを極小化する「DACマスター・クロック・デザイン」という2つの技術を“核”として、ドライブメカから電源回路、筐体設計に至るすべてを新規に開発したという。また最新のオーディオシーンに合わせ、DSD 5.6MHzまでサポートするUSB-DAC機能を搭載している。

2つのコア技術

 DACは「PCM1795」を1チャンネルあたり2個使うぜいたくな仕様で、それぞれのチップをHOT/COLDを作動出力する「モノモード」で使用している。また、DACに供給するクロックの精度を最優先にするため、DAC近くにクロックモジュールを配置。DACをマスターとして周辺回路にクロック供給を行うことで、デジタル回路を高精度に動作させる(=DACマスター・クロック・デザイン)。

DACの使い方がぜいたく(左)。アナログ回路もフルバランス構成(右)

 クロックモジュールは44.1kHz系と48kHz系の2系統を用意して、さまざまなソースのサンプリングレートに対応した。「ディスクのみならず、外部入力にも適応する。ここまでDAC優先で作ったモデルは初めてだと思う」(同社)。

 USB-DAC機能は、2.8MHz/5.6MHzのDSDと192kHz/24bitまでのPCM入力に対応。ASIOドライバーによるネイティブ再生とDoP(DSD over PCM Frames)をサポートしている。またPCからのノイズをカットするため、信号ラインをアイソレーターで遮断。グランドもリレーによってPCとの電気的な結合を完全になくした。「ノイズを含まない音声信号のみがトランス結合のアイソレーターを通して伝送される回路構成」という。さらに周辺回路への高周波ノイズ輻射を抑えるため、デジタル回路全体を銅メッキスチールプレートによるシールドケースに封入した。

 外観はフラグシップにふさわしい重厚かつエレガントなデザイン。ドライブメカは低重心かつ高精度の設計として外部からの振動に強い構造とした。さらにスピンドルシャフトを短くして回転ブレを防ぐ。これには、ピックアップを制御するサーボの負担やエラー訂正などデジタル回路への負担を軽減する効果もあるという。

超ど級のドライブメカ

 USB(Type B)のほか、背面にUSB(Type A)を装備。ほかに光/同軸それぞれ1系統のデジタル入力端子を持っており、いずれも最大192kHz/24bit信号に対応する。一方の音声出力は、バランスアナログ、アンバランスアナログ、光デジタル、同軸デジタルが各1系統。なお、バランス出力のピン配置は、従来の“3番ホット固定”を改め、極性切替が可能にしたこともトピックだ。

 本体サイズは434(幅)×149(高さ)×406(奥行き)ミリ。重量は25キログラム。アルミ製の専用リモコン、音声ケーブル、電源ケーブルなどが付属する。

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