今年のテレビトレンドには、4K化とともに”プレミアム化”がある。かつてフルHDテレビの売上が膨らんでいく中、液晶テレビに対して直下型LEDによるローカルディミング対応バックライトが採用されたり、映像処理に最新のLSI技術が投入されるなど、さまざまな”プレミアム化”が行われたが、フルHDテレビの単価下落とともに失われてきた。
4K時代も黎明(れいめい)期はパネルコストや映像処理LSIの規模が追い付いていないなどの理由もあり、機能や画質向上のための工夫に関してはフルHD時代より後退していた面があった。しかし、今年は4Kテレビ市場の拡大(パネルコストの低下)や映像処理LSIの能力向上、それにフルHD映像ソースを4Kパネルに”美しく表示”する必要性などもあり、高画質化技術をきちんと盛り込んだ、そして単価に見合うだけのデザイン性や機能も盛り込んだ上位製品が多くなっている。
CESで登場した新製品やコンセプトモデルを見渡すと、直下型LEDバックライトを活用したローカルディミング技術は、ソニーのほか、東芝、パナソニック、シャープ、LGエレクトロニクスの5社が対応している。さらにダイナミックレンジ拡張機能をソニーと東芝が盛り込み、シャープはドルビービジョン対応テレビの試作機を展示するなど、液晶の画質を磨きこむ傾向が強い。また国内限定でいうならば、ホームプロジェクター部門から撤退した三菱電機も、高付加価値の4Kテレビへ挑戦しようとしている模様だ。
日本市場では、かつて42V型が主流だった時代に上位モデルを購入した消費者層が、再び高付加価値テレビを求める傾向が強い。例えば50V型以上にサイズアップして、さらに4K解像度のテレビを望む声が高まっている。そんな状況の中、各社から4Kテレビが出そろったのが昨年。2014年はさらに付加価値を加えた「プレミアム4K」ともいえる製品が年末に向けて増えてくることになるだろう。
テレビを買い替えたいのに、店頭にあるのが低価格ラインばかりで困っているという方は、今年から来年にかけてが1つの狙い目になるかもしれない。いずれ4Kテレビも低コスト化に向かうなら、フルHDテレビがそうであったように、プレミアムクラスの製品が再び失われる可能性もあるからだ。
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