ITmedia NEWS >

音響設計を突き詰めたカナル型イヤフォン、マクセル「MXH-RF800」登場mマーク入り

» 2014年10月21日 16時57分 公開
[ITmedia]

 日立マクセルは10月21日、カナル型イヤフォンの新製品「MXH-RF800」を発表した。音質を追求した「m」シリーズの第5弾。シングルドライバーながら、筐体(きょうたい)の音響設計を突き詰めた製品という。10月25日に発売する予定で、実売価格は2万円前後になる見込みだ(オープン価格)。

「MXH-RF800」

 同社は2012年に高級オーディオ分野への復帰を宣言し、そのシンボルとして「m」のマークを冠したシリーズを展開してきた。最初の製品がツインドライバーとハイブリッド型だったこともあってそのイメージも強いが、一方で昨年2月にシングルドライバーの「MXH-RF500」を発表し、もう1つの柱にしようとしている。今回の「MXH-RF800」は、その上位モデルという位置づけだ。

 「MXH-RF500は、“空間をうまく使って上手に音を出していこう”というアプローチ。派手さはないが、クリアな音質と聴き疲れしない点が評価されており、ハイブリッド型よりMXH-RF500のほうが好きという人も多い」(同社コンシューマ事業部商品企画部の小林是人担当部長)。

日立マクセル、コンシューマ事業部商品企画部の小林是人担当部長。パッケージにも大きく「mマーク」が入る

 一方で高域の不足を指摘する声もあり、今回はその点を含めて全体を作り直した。ドライバーは口径や振動板の素材を含めてRF500と同じだが、“デュアルチャンバー”構造は完全新設計。さらにボディーにはABS樹脂と高剛性アルミニウム合金による“ハイブリッドボディー”を採用している。樹脂を合金で挟み込む構造により、素材が持つ固有振動を低減しつつボディーの共振を抑制するという。

ハイブリッドボディの構造

分解図−−

 デュアルチャンバーは構造から変えた。「RF500では2つの部屋がドライバーの後ろに並んでいる構造だったが、今回はドライバー背面を囲むドーナツ状の空間と、その後ろに広めの空間を設け、1カ所をポートでつなぐ形になっている」。チャンバーの総容積は、RF500よりも小さくなっているという。

デュアルチャンバー構造。ドライバー背面を囲むドーナツ状の空間と、その後ろに広めの空間を設け、1カ所をポートでつなぐ形になっている

 構造を変えた目的は、カナル型イヤフォン特有の“閉管共振”による6kHz付近のキツイ音を抑えつつ、高い周波数まで出せるようにするためだ。「容積の変更でピークの発生位置をずらし、ポートには音響抵抗を設けてなだらかな特性に調整した。これにより、高域のピークにマスキングされがちな8k〜12kHz前後も聞こえるようになり、例えばシンバルの余韻なども楽しめる」。

実際の聞こえ方がフラットになるように調整した

 一方の低域は、等ラウドネス曲線を意識して「高域と同じ音圧に聞こえるように調整した」という。人間の聴覚は周波数によって感度が異なるため、物理的に同じ音圧を出しても感じ方が違う。その聴感上の音の大きさ(ラウドネス)をグラフ化したのが等ラウドネス曲線だ。つまり、単純に周波数特性をフラットにするというより、実際の聞こえ方がフラットになるように調整したという。

 インピーダンスは16オームで、感度は105dB/mW。再生周波数特性は20〜2万2000Hzと“ハイレゾ対応”ではないが、「分解能の高さと、音の波形を忠実に届けることに注力した」と自信を見せる。

 なお、今回は遮音性を高めて音を正確に伝えるため、イヤーピースは通常のシリコン(S/M/L)に加えて低反発ポリウレタン(M/L)を使用したものも付属する。ケーブルは1.2メートルのY型で、タッチノイズを考慮してあえて従来の丸いタイプを採用している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.