麻倉氏:「4Kプロジェクターそろい踏み」というのも、今回のIFAでの大きな話題です。
2013年にソニーとビクターが4Kプロジェクターをそろって発売しました。昨年はエプソンが「ピクセルシフト」(画素ずらし)で追随しましたが、一方でソニーとビクターに動きはありませんでした。それが今年は、ソニーとビクターが肩を並べて新製品を展示しました。特徴としてはどちらもHDRを見据えたデザインになっていることですね。
――プロジェクターにおけるHDR対応のキーポイントとしては、どういった点が挙げられますか?
麻倉氏:ダイナミックレンジを広く取るということで、基本的に高輝度確保が重要です。ソニーは「VPL-VW500」の後継モデル「VPL-VW515」で1600ルーメンから1700ルーメンとなりました。ビクターは型番3桁モデルが4桁モデルに改められています。ランプパワーが230ワットから265ワットまで向上したことと、光学系を抜本的に見直したことで、明るさは1300ルーメンから1800ルーメンと一気に増しました。ビクターによると、Ultra HD Blu-rayの性能を満たす、特にHDRのスペックに対応するためという方向が明確になってきたとのことです。
ビクターが昨年休んだのはHDMI周りの問題が原因でした。従来はHDMI1.4までの対応だったので「スカパー!」などの60p信号は再現できなかったのです。この問題に対処するためにHDMI2.0aを入れようとして時間がかかったのですが、これできっちりとHDR、60p、HDCP2.2という“正しい4K”に万全の構えで対応します。
それにしてもビクターの画作りは非常に上手いですね。画作りの根源は「MPC(マルチピクセルコントロール)」という超解像イコライジングで、これは例えば精細感が高い場合は高域と低域のバランスを取るといったように、入力信号の特徴を生かしてユーザーが絵作りできるというものです。このようなやり方はソニーも追いつけません。現状この技術は2D方向の超解像ですが、Dレンジ方向に調整ができればMPCの強みが活きます。こうなってくるとHDRの新しい世界に対しても「さすがはビクター!」といえますね。
ソニーの方は500番台が上下に分かれました。もちろんどちらもHDRに対応しています。ソニーの強みはDCI規格に対応するSXRDの4Kフル画素デバイスを持っていることです。これは従来から継続する強みで、その上にHDRが来ます。
――プロジェクターの世界でも着々と次世代技術が入ってきていますね。より幅広い層に降りてきたということで、歓迎したいです
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