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曲面テレビはもう終わり?――IFAで見つけた“近未来”麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(2/6 ページ)

» 2015年10月05日 21時18分 公開
[天野透ITmedia]

曲面ディスプレイはもう古い!?

麻倉氏:ベルリンで某社幹部と話をしていた時のことなのですが、「曲面テレビはどうですか」と質問をしてみたところ、「曲面は来年以降、ほとんど出しません」という驚きの返答が返ってきました。

――その現場には居合わせました。確か「曲面はもう止めました」でしたっけ?

麻倉氏:まあほとんど止めます、ほとんど出しませんと。それに対して日本メーカーはこれから曲面をやるぞという話が多く出ています。ソニーはこれから曲面の第2世代をヨーロッパで売ろうとしています。第1世代はロシアと中国で出したのですが、ヨーロッパでは様子見をしていました。その間に韓国メーカーが押さえていったというのが、テレビ業界における曲面ディスプレイの構図です。

 ヨーロッパの大型市場における曲面比率は30%くらいあります。これだけの勢力となると「やはり曲面は必要」となります。パナソニックのOLEDも曲面なので、ヨーロッパを考えると曲面にしないと売れないというのが日本の考え方ですけど。

――ですけど?

麻倉氏:ところが日本以外のメーカーでは「曲面はもう終わり」ですよ。

――なんと!

麻倉氏:お話をした方によると、ラテン系の国は曲面が好まれる傾向にあるのですが、「曲面はヤダ」「やっぱりフラットが良い」という声が、特にイギリスやドイツなどのゲルマン系の国から聞こえるそうです。

 カタチの流行は必ず終りが来ます。始まってからだいたい2〜3年でブームは終わりですね。それからはまた別のカタチに流れてゆき、最終的に行き着く先はオーソドックスなフラットなのです。

――奇抜なカタチは一時的にもてはやされても、結局は安定したモノへ戻ってゆくということですね。

麻倉氏:ディスプレイサーチのポール・グレイさんと2年前にドブロブニクでお話をした際、「曲面は流行らない」と意見を述べてみたら、ポールさんも「私もそう思う」と話していました。「おお、あなたもそう思うか」と握手しました。

――そんなに前からですか(笑)。

麻倉氏:「いつ頃まで続きますかね?」という私の問いに対して「まあ2017年がピークではないですかね」といったやり取りでしたね。これ、実話ですよ。素晴らしい先見の明だと思います。

 実はこれ、ポールさんの個人的な意見ではなく、ディスプレイサーチの公式見解なのです。先日の東京セミナーでもそう言っています。「日本メーカーよ、甘い誘いに乗るべからず」と、警鐘を鳴らしておきましょう。残念ながら今からやっても“時、既に遅し”です。

麻倉氏とも親交の深い、ディスプレイサーチのポール・グレイ氏。2年前の時点で「曲面ディスプレイの流行はすぐ終わる」という意見を既に出していた

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