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お部屋でまったりハイレゾ再生! 入門にも最適な据え置き型コンポ4タイプハイレゾスタートガイド(3)(2/4 ページ)

» 2015年12月11日 17時29分 公開
[山本敦ITmedia]

タイプ2:スピーカーによるハイレゾ再生環境がまとめてそろう一体型オーディオシステム

 次に紹介したいのが、USB-DACやアンプを一体化にしたセンターユニットのほかに、スピーカーもパッケージにしたハイレゾ対応の一体型オーディオシステムだ。カセットテープやCDの時代にはいわゆる“ミニコンポ”として人気を博した一体型システムは今のハイレゾ時代でも健在だ。この商品カテゴリーはハイレゾを手軽にスピーカーで楽しみたいという方におすすめしたい。セットシステムを買って、あとはPCなどを用意すればハイレゾ再生環境が整ってしまう。多くの製品がセンターユニットに他社スピーカーをつなげる仕様にしているが、いうまでもなくセットのスピーカーでベストなチューニングに仕上げられている。あとは3ピース以上で構成されている機器を置く場所を確保することが課題になるが、最近では本体の省スペース化にも気を配った製品が多い。

ソニーの「CAS-1」

 ソニーが今年の秋に発売した「CAS-1」は、アンプとUSB-DAC機能を内蔵するセンターユニットとステレオスピーカーに3ピース構成の一体型オーディオシステムだ。直販サイトの販売価格が7万9880円(税別)と、ハイレゾをスピーカーで聴く環境をイチからそろえるなら入門システムと呼んでも差し支えない金額感といえるのではないだろうか。

 ハイレゾ再生は最大192kHz/24bitのリニアPCMと、2.8MHzまでのDSDがリニアPCM変換で再生できる。背面のUSB-B端子にPCをケーブルで接続したり、USBマスストレージに保存したファイルを本体フロント側に設けたUSB-A端子に接続すればハイレゾ再生が楽しめる。Bluetoothによるワイヤレス再生も、aptXやAACのほかに、ハイレゾ相当の高音質をワイヤレスで楽しめるソニー独自の高音質オーディオコーデック「LDAC」をサポートする充実ぶり。反対に、ケーブル接続によるソース入力はUSBデジタルに一本化して、アナログ音声入力すら設けない潔さは、ハイレゾ入門機としての扱いやすさに結び付いているように思う。

 本機の特徴的な機能を1つ紹介しておこう。センターユニットには独立したヘッドフォンアンプも内蔵しているので、スピーカーだけでなくヘッドフォンでも音楽が楽しめるのはこのシステムの用途としての大前提ではあるのだが、あまり大きな音を出せない環境でも、デスクトップなどでスピーカーで音を出しながらゆったりと音楽に浸りたい時もある。そんな時に活躍する機能が、小ボリュームでの音楽再生時にも音楽を聴いている感覚がしっかり味わえるよう設けられた自動音場補正機能「Low Volume Mode(LVM)」だ。

 本機能をリモコンからオンにして音楽を聴くと、ボリュームを下げて音楽を聴いている時にも、十分な音圧を確保しながら、ボーカルや高域・低域のバランスを整えて、それぞれを聴きやすい量に自動で整える。ソニーがAVアンプやサウンドバーの製品に搭載してきた補正技術の思想をピュアオーディオリスニングに最適化したものだ。集合住宅に生活している方々には、夜間に限らず隣近所への音漏れを気にしながら聴かなければならないので、スピーカーの導入はあきらめているという方も多いと思う。CAS-1はセットになるバスレフ型2Way構造のブックシェルフスピーカーとの組み合わせにより、デスクトップでのニアフィールドリスニングにチューニングされたバランスの良いハイレゾ再生が楽しめる。USBを中心としたデスクトップでのPCによるハイレゾ再生やLVMの搭載など、都市生活者にも最適な入門コンポといえそうだ。

ティアックの「HR-S101」

 ティアックの「HR-S101」もスピーカーによるハイレゾ再生をシンプルに始めるための入門機として最適な選択肢だ。メインユニットは横幅182mmとして縦置きにも対応するので、スピーカーとまとめて比較的コンパクトなデスクトップのスペースに置くことができる。ハイレゾ対応は最大192kHz/24bitのPCMまでとなるが、多くの据え置き型コンポーネント同様にハイレゾ未満のCDリッピングやMP3の音源もより高品位にアップコンバートできる機能を設けている。直販サイトの販売価格は4万6000円(税抜)と価格も非常にお手頃。ティアックからWin/Mac対応のPC用音楽再生ソフト「TEAC HR Audio Player」が無償で提供されているので、本機とPCをそろえればスピーカーとヘッドフォンによるハイレゾ再生環境は比較的に整う。

 USB接続によるPCオーディオ再生から、Bluetooth経由でスマホにつないでワイヤレス再生もできる。コンパクトなブックシェルフスピーカーは2Way構成で、バナナプラグを搭載しているのでより本格的なスピーカーケーブルに交換して音の違いも聴き比べられる。もちろん組み合わせるスピーカーを変更することもできるので、入門機といえども購入後のシステムアップを楽しみながら長く愛用できる魅力がある。

パイオニアの「Stellanova」(ステラノヴァ)シリーズ

 パイオニアの「Stellanova」(ステラノヴァ)シリーズは、ハイレゾを含む音楽再生をワイヤレスで、より手軽に楽しめる異色の一体型オーディオシステムだ。本体はセンターユニットがセパレート構成になっていて、それぞれにアンプ内蔵USB-DAC「APS-DA101J」に、2.4GHz/5GHzの無線LAN対応ワイヤレスユニット「APS-WF02J」として単品販売も行う。これにハイレゾ対応のステレオスピーカー「APS-SP101J」の組み合わせが基本型だ。

 ハイレゾを含む音楽データをワイヤレスで飛ばせる秘密は、パイオニアの独自技術「Air Hi-Res Link Technology」にある。USBプロトコルの信号をTCP/IPに変換する「USB仮想化技術」と、ワイヤレスユニットに搭載するオーディオ用ロングメモリーによってUSBオーディオのアシンクロナス伝送をワイヤレスで、しかも最長10mの範囲まで安定的に実現している。

 音楽再生にはiOS対応のスマホ用プレーヤーアプリ「Wireless Hi-Res Player Stellanova」、またはWin/Mac対応のPCアプリケーション「Pioneer Stellanova Player」を使う。端末に保存したハイレゾ音源をワイヤレスで再生できるほか、ワイヤレスユニットの背面に設けた4基のUSBポートに、それぞれUSB-HDDやUSBメモリーを接続して、保存されている音楽ファイルをアプリの画面上に表示しながらリモコン再生ができるスムーズな使い勝手も実現した。さらにUSB端子に外付けタイプのDVD/CDドライブをつなげば、CD再生やUSB-HDDへのファイルリッピングもアプリ経由によるPCレス操作が行える。

 ハイレゾ対応はリニアPCM系が最大192kHz/24bitまで、DSDも5.6MHz/2.8MHzまでのネイティブ再生に対応する。スピーカーは40kHzの広帯域をカバーするハイレゾ対応。パイオニアのオンラインサイトではアンプ内蔵USB-DACとステレオスピーカーのセットを「Stellanova Lite」の“2点セット”が4万6800円(税別)で販売されている。当面このセットだけでもPCによるUSBオーディオは楽しめるので、入門向けにはぴったりだと思う。アンプのカラバリも豊富だ。あとは必要に応じてワイヤレスユニット(直販サイト価格:2万3000円・税別)を買い足してフルセットの「Stellanova」に発展させてもよい。

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