今回はPCを使ったUBSオーディオによるハイレゾ再生にスマホからのBluetoothワイヤレス再生、さらにアナログレコードもHR-X101で聴いてみよう。最近またアナログレコードブームが再燃して賑わいはじめたが、そもそもわが家には昔からアナログレコードのコレクションがたくさんあって、CDを中心に聴くようになってからレコード棚に眠っているという方もけっこういるのではないだろうか。せっかくだからハイレゾ対応のオールインワンシステムをアナログレコード再生にも役立てることができたらうれしい。
単体で多くの音楽ソースが楽しめる完結型のオーディオシステムであるHR-X101の発展性も深掘りするため、続いての試聴レポートでは今回、ティアックの新しいアナログレコードプレーヤー「TN-570」と組み合わせた相性も探ってみたい。TN-570はターンテーブルに載せて再生したレコードの音声を、内蔵するシーラスロジック社の高精度ADコンバーターによりデジタル信号に変換して、USB出力でPCに送り込んで録音・再生したり、最大192kHz/24bitで外部オーディオ機器につないでデジタル出力ができるプレーヤーだ。HR-X101は192kHz/24bit対応の光デジタル入力を備えているので、これは面白い使い方ができるんじゃないだろうか。
まずはPCをつないでハイレゾ再生の実力からチェックした。ティアック純正のハイレゾプレーヤーソフト「TEAC HR Audio Player」は、聴きたい音源ファイルをプレーヤーの画面にドラッグ&ドロップして直感的な操作でプレイリストが作成できる。複雑な機能を設けないシンプルなプレイリスト型のプレーヤーソフトだが、はじめてPCオーディオに触れる方にとっては馴染みやすく感じると思う。
なおWindows PCをHR-X101につなぐ場合は、ティアックのホームページから専用ドライバーをダウンロードしてインストールする必要がある。MacはOS標準のドライバーで再生ができるので、この手順は不要だ。
TOTOの「35th Anniversary Tour-Live in Poland」の楽曲「パメラ」では、広がり感あふれるライブ会場の臨場感が伝わってくる。聴感上のバランスが非常にフラットで、余分な色づけがない。ハイレゾらしい解像感も高く、情報量が充実している。ボーカルやエレキギター、シンセサイザーのメロディラインから細かいニュアンスがはっきりと浮かび上がってきた。エレキベースやバスドラの低音は筋肉質で厚みもあり、スピード感や透明度が非常に高いので、バンドの演奏全体にきりっと引き締まった緊張感を与えてくれる。
LS-101HRはデスクトップなどに置いてニアフィールドリスニングで使ったときに最も分かりやすく真価を発揮するスピーカーだが、ある程度の広さがある部屋でもサイズを超えた力強いサウンドを響かせた。本機よりも先に、ティアックからはPCオーディオ対応のオールインワンシステム「HR-S101」も発売されている。本機も手のひらにのるコンパクトサイズのブックシェルフスピーカーをセットとしているシステムだが、小柄ながらも力強くボールドな低音を鳴らし切るタフなスピーカーだ。オールインワンのセットシステム全体で音を作りこみながら、コンパクトなスピーカーから最高のパフォーマンスを引き出す巧さがティアックのシステムにはあると思う。
ミロシュ・カルダグリッチのアルバム「Latino Gold」から「Barrios Mangore:Un Sueno en la Floresta」では、アコースティックギターの自然でリアルな音色がしっとりとつややかなメロディを歌い上げる。ギターのボディをたっぷりと響かせながら、トレモロのフレーズでは1つ1つの音の粒立ちが鮮明で、指先が弦をはじく様子までクリアに見渡せる。
Bluetoothオーディオ再生はaptXに対応する「Xperia Z5 Premium」をリファレンスに、音楽配信サービスAWAのラインアップからマイケル・ブーブレの「Haven't Met You Yet」を聴いた。ボーカルの声には余計な付帯音がないぶん、細かなニュアンスに意識を研ぎ澄ませなくても、自然と耳の奥まで飛び込んでくる感覚がある。アーティストとの距離感をとても近くに感じられた。ピアノのメロディは彫りが深く、アタックも力強い。パーカッションのリズムは粒立ちがシャープで正確だ。
リモコンのボタンから「UPCONVERT」を押すと、Bluetooth再生のソースにもアプコン効果がかかり、中低域によりいっそう厚みと安定感が加わった。メロディラインもさらに引き締まる。アプコン機能は96kHz以下のハイレゾ音源も含めて、USBや光デジタルからの外部入力、CD、Bluetooth再生の音楽ソースを等しく2倍のサンプリング周波数に変換しながら再生する。CDのコレクションなどもまた違った角度から楽しめる機能としてぜひ活用したい。
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