「TN-570」は美しい人造大理石と高密度MDFを組み合わせた2層構造のシャーシを特徴とするベルトドライブ方式のアナログプレーヤーだ。ティアックのアナログプレーヤーとしては上位クラスのモデルに位置付けられる。本体にはMM型のフォノイコライザーアンプが内蔵されているので、エントリークラスのマイクロコンポなどに直接つないでアナログレコード再生が楽しめるので、入門層にも最適な選択肢としておすすめできる。アナログレコードの再生音源を内蔵するADコンバーターでデジタル変換して、USB出力された48kHz/16bitの信号をパソコンに取り込み、アナログレコードをデジタルアーカイブとして残す楽しみ方にも対応ができたりと、普通のアナログプレーヤーよりも多彩な機能を備えている。
デジタル変換されたアナログレコード再生の信号は、背面の角型光デジタル端子から外部に出力することもできる。背面に設けられている切り替えスイッチで、サンプリング周波数を192kHz/96kHz/48kHzの3段階から選択可能。今回はTN-570とHR-X101との間をワイヤーワールドの光デジタルケーブル「NOVA」で接続して、レコード棚から引っぱり出してきた「機動戦士Zガンダム」のオリジナルサウンドトラック「BGM集 Vol.3」を192kHz/24bitのクオリティでHR-X101に送って聴いてみた。
A面の1曲目に収録されている森口博子の名曲「水の星へ愛をこめて」では、しっとりとしたボーカルのきめの細かい質感が浮かび上がってくる。S/N感がよくひずみっぽさがない。音楽と静寂とのコントラスト感が明瞭(めいりょう)に描き分けられ、ボーカルと楽器による演奏との距離感も立体的に感じられる。まるで生演奏を間近で体験しているように、血の通った躍動感あふれる音に触れられる喜びがアナログ再生の醍醐味(だいごみ)だ。TN-570とHR-X101をアナログ音声ケーブルで接続したサウンドと聴き比べてみると、音の力強さと臨場感は光デジタル接続の方が段違いに良い。空間の展開力もデジタル接続で聴いた音の方が何枚も上手に感じられる。ぜひこの組み合わせを実践するのであれば光ケーブルによる接続がおすすめだ。
アナログレコードの盤を見つめながら、ゆっくりと針を落とす瞬間に集中力を高めて、スピーカーから音が鳴るたびに心地よい高揚感を味わう。アナログレコード再生の魅力にはまるほど、音楽と真剣に向かい合う時間も自然と長くなる。ハイレゾやCDと聴き比べながら、自分の好きな音楽をとことん突き詰めていけばまた新しい発見が得られるかもしれない。シンプルにセットアップができて、外部機器との組み合わせによる発展性にも富むティアックのHR-X101は、これから音楽との付き合い方をますます深めていきたいと考えている全ての方々にとって最良のパートナーになるだろう。
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