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高性能USB-DACとネットワークプレイヤーが融合! ティアック「NT-503」の実力とは?(1/4 ページ)

» 2015年11月02日 16時12分 公開
[山本敦ITmedia]

 ティアックが初夏に発売したハイレゾ対応のヘッドフォンアンプ内蔵USB-DAC「UD-503」に続き、シリーズの最新モデルとなるUSB-DAC内蔵ネットワークオーディオプレイヤー「NT-503」が発売された。スマートフォンやタブレットとの連携も高めながら、“いい音”を満喫するためのティアックの先端テクノロジーを満載。コンパクトサイズのボディーに秘められたその実力に迫る。

ティアックのUSB-DACにプリアンプ機能を搭載したネットワークオーディオプレイヤー「NT-503」

A4サイズのネットワークオーディオプレイヤーが誕生

 今年先行して発売された「UD-503」は、DSD 11.2MHzとPCM 384kHz/32bit対応のUSB-DACに、2種類のバランス出力対応のヘッドフォンアンプ機能を組み合わせた、尖ったキャラクターを持つコンポーネントだ。新しく加わる「NT-503」は、UD-503のヘッドフォンアンプ部をネットワークオーディオプレイヤーに置き換えたシリーズの新しいラインアップになる。NT-503にNAS、スマホ・タブレット対応のアプリをそろえれば、ホームネットワーク環境でカジュアルにハイレゾ再生が楽しめる。本機に搭載されているネットワークオーディオ再生機能については、昨年にティアックが発売したハイレゾ対応ネットワークオーディオ&CDプレイヤー「CD-P800NT」の開発で培われたノウハウをベースに進化したものが搭載されている。

 ネットワークオーディオ再生の機能はDLNA 1.5に準拠。同じホームネットワーク内のルーターに接続されているNASに保存した音楽ファイルを、スマートフォンやタブレットのコントローラーアプリから操作して再生できるのが大きな特徴だ。USB-DACのほかにプリアンプ、ヘッドフォンアンプとしての機能も備えているので、デスクトップでのPCオーディオ再生や本格的な据え置きコンポーネントと組み合わせたホームオーディオ再生にも活躍してくれる。

USB-DAC、プリアンプ部は先行するUD-503と同じ高音質設計を採用

 USB-DAC、およびプリアンプについては先行するUD-503の設計思想と仕様はほぼ共通。DAコンバーターには旭化成エレクトロニクス製のフラグシップDACであるVERITAシリーズの「AK4490」を採用。チップのスペックとして11.2MHz DSDやリニアPCMの384kHz/32bitのネイティブ再生をサポートしている。

 リニアPCMのファイル再生時には、ザイリンクスのFPGA(プログラマブルIC)をベースにカスタムメイドしたアップコンバート機能により音を聴き比べられる面白さもある。リニアPCMのソースは最大352.8kHz/32bit、384kHz/32bitまでアップコンバートができるほか、44.1kHz系は11.2MHz、48kHz系は12.2MHzまでのDSD変換処理も可能。CDリッピングのソースをベースに音の変化を味わってみるのも良さそうだ。ほかにも4種類のPCMデジタルフィルター、2種類のDSDフィルターの切り替えに対応しており、フロントパネルの入力セレクターで操作できる。

フロントパネルにはUSB-A端子に、6.3ミリ標準タイプのヘッドフォンジャックを搭載した。本体設定などを本体だけで行うための操作は入力セレクターとMENUボタンで行う

 オーディオ回路はUD-503、UD-501と同じく、左右チャンネルの信号干渉を徹底的に防ぐためデュアルモノーラル設計としている。さらにはデジタルアイソレーターによってデジタル/アナログ部の電源、グラウンドを完全に絶縁したことで、デジタル入力ソースに起因するノイズが電源やグラウンドを伝わってアナログ部に侵入しないよう細心のケアを尽くした。常に安定した電流が供給できるよう、大容量トロイダルコア電源トランスを左右チャンネルに各1基ずつ配置してチャンネルセパレーションも高めている。ティアックグループのHi-Fiブランドであるエソテリックの大型コンポーネントにも採用されている手法を、503シリーズのよりコンパクトな筐体サイズで実現した点は注目に値するといえる。

オーディオ機器としての従来の操作に慣れた人のためにリモコンも用意

 さらにもう1つ、エソテリックの製品開発から生まれた高音質化のためのテクノロジーとして、電流伝送能力を強化した出力バッファー回路「TEAC HCLD」(Hight Current Line Driver)が、左右チャンネルに2回路ずつ、合計4回路ぶん搭載されていることも強調しておきたい。後述するヘッドフォン出力についてもTEAC HCLD回路のパワーをフルに生かすことで、さらに力強いパラレル駆動を可能にしている。

 本体内部には44.1kHzと48kHzで2系統の高精度専用クロックを搭載。USB入力時には低位相ノイズ型の高精度水晶発振器を各整数倍の入力信号に適用することでジッターの影響を抑える。さらに10MHzの外部マスタークロックを本体背面の専用端子に入力して、より精度の高いクロックで同期させることもできる。ティアックではUD-503、NT-503に続くコンポーネントとして、同じくA4サイズの単体クロックジェネレーターをシリーズに加える計画もあるという。NT-503のフロントパネルには「CLOCK」と記されたランプが設けられており、外部クロックを接続した際にはこちらがブルーに点灯するギミックも用意されている。

リアパネルにはUSB-B端子にLAN端子を搭載。アナログオーディオ出力はバランス/アンバランスをそれぞれ1系統。クロック入力も設けている

 D/A変換後のアナログオーディオ信号は、ボリュームアンプに到達するまで全段バランス処理としたフルバランス設計の「TEAC-QVCS」電子ボリュームシステムを搭載。左右チャンネル、正負ごとに独立した合計4回路の可変ゲインアンプ型ボリュームを連動させながらコントロールすることで、高いチャンネルセパレーションとクリアなサウンドを実現。ボリュームは0.5dBきざみで256ステップから細かく調整でき、音量のステータスもフロントパネルの有機ELディスプレイに表示される。

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