エシックは、コーティングによってポータブル機器をピカピカにするサービスで、対象はイヤフォン、ヘッドフォン、プレーヤー、アンプ(スマートフォンもプレーヤーのくくりで一応OKになっている)。特にカスタムIEMは前提が業務用なので作りが粗く、コーティングによって「新品よりもピカピカになる」という。
処理方法は、まず汚れをふき取って磨き上げ、専用のシリコン溶剤でポリッシングして乾燥・定着させるというもの。表面の乾燥は3時間足らずで終了して触ることも可能になるが、コーティングを完全に定着させるには1週間ほどかかるという。その間、通常の使用には問題ないものの、お手入れはアルコールを使わず乾拭きのみにとどめる必要があるそうだ。ガラスにかなり近いシリコンベースのツヤ出し溶剤「ガラスの盾」を塗布するオプションサービスも用意されている。
サービスの仕掛け人は熟練の修理・改造技術に定評がある「Dr.ガッキー」こと稲垣雄太氏。愛機の傷が嫌で、お客さんからも「傷つかないものない?」という声を聞いていたある日、ロードバイクが趣味だという稲垣氏が友人の自転車屋から「ガラスの鎧」という物々しい名前のコーティングを紹介してもらったことがきっかけだという。
自転車用コーティングという世にも珍しいサービスを展開するのは岡山にガレージを構える「クレストヨンド」。元々、車のコーティングをやっていた関係で材料メーカーとも付き合いがあり、コーティング技術を自転車に応用して専門イベントの「東京サイクルモード」に出展したところ、稲垣氏に「補足された」(クレストヨンドの守谷修代表)らしい。イヤフォン/ヘッドフォンという思いもよらぬ業種の提案に、当初は「はい???」と頭の中をクエスチョンマークが飛び交ったという。
「ガラスの鎧」は、薄さ1μmで割れる心配もなく、耳に直接触れるイヤーモニターでも使えるのが採用の決め手だと稲垣氏は語る。当初は自転車と同じ要領での処理を想定していたが、フタを開けてみると異なる部分が多数あったという。
「自転車と違って金属むき出しの部分やレジン(樹脂素材)もあり、また薄さ1μmという難しさも相まって、かなり多くの部分を研究しました。例えば溶剤はイヤフォン/ヘッドフォンに特化したもので、自転車用よりも濃度を高くしてあります」と稲垣氏。「分かってはいたのですが、マット処理されたものはムラも出て大失敗しましたね。スタッフのものも使ってテストを重ねたところ、マット素材は磨かず塗布するときれいになるという事を発見しました。サービスとしてある程度完成したのはつい最近なんですよ」(稲垣氏)
失敗を重ねて実用に耐えるレベルになると、スタッフのテストでは感動的なまでに小キズが消え、「また新品になった」「2度美味しい」といった評価が返ってきたという。会場では正式サービスに向けてのテストという位置付けだったが、磨き終わった愛機を見た参加者からは「ぜんぜん違う」「やってもらってよかった」「満足です」といった驚きと感動の声が次々と聞かれた。
「ピカピカの製品をお渡しする時がうれしいですね。スタッフテストでも会場でもかなり好評なので、おそらく本サービスとして実施すると思います。やってみるとその美しさに感動しますので、愛機を末永く使ってもらうためにも是非一度試してもらいたいです」(稲垣氏)
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