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「やっと名古屋に来てくれた」――「ポタフェス 2015 Limited」が熱烈な歓迎を受ける

» 2015年03月15日 16時22分 公開
[天野透,ITmedia]
,会場となった「桑山ビル」は、名古屋駅から歩いてすぐの立地

 ポータブルオーディオの体感イベント「ポタフェス 2015 Limited in 名古屋」が、名古屋駅に近い「桑山ビル」で開催された。本イベントは東京と大阪で開催されていたイベントの全国ツアー第1弾で、今回の名古屋を皮切りに、全国8都市での開催を予定している。

 午前11時の開場前から熱心なオーディオファンがあつまり、入場待ちの行列を作った。ヘッドフォン関連の専門イベント自体が珍しいということで、当日は在名のテレビ局が取材に訪れており、注目度の高さをうかがわせた。「ベルサール秋葉原」の3フロアを使った東京会場ほど大規模ではないが、オーディオメーカーなど80を越える団体が出展し、会場は多くの熱心なファンで賑わった。

 会場では若い年齢層を中心に多くの参加者が、各々目当ての製品を視聴していた。なかなか聴くことができないハイエンドモデルも多数体験できるということで、普段は遠出をすることが難しい高校生の音楽ファンの姿も多く見られた。また、ヘッドフォンに詳しい参加者がこれからステップアップを考えている友人と一緒に来場するというシーンもあった。カップルで参加したファンもいたが、全体的に見ると女性は少なめだった。

当日は名古屋テレビ(メーテレ)が取材に訪れていた

首都圏以外にも体験の場を

 開催場所は名古屋だが、知多半島や三重、浜松など、周辺の都市から駆けつけた参加者も見られた。三重から来たとある参加者は、電車1本で名古屋に出られるため、会場まで足をのばしたと話した。名古屋は決して近くはないが、eイヤホン本店がある大阪よりはまだ行きやすいという。

 ヘッドフォン関連機材を、これだけ大きな規模で自由に試聴できるのは、専門店やイベントが多い東京・大阪を除くと貴重な機会だ。専門的な品揃えの大型家電量販店でも、高級モデルなどを常時用意している例は多くはなく、試聴機があったとしても鍵付きのガラスケースに入っているため、首都圏や大阪以外のユーザーが実際に試すには、心理的な障壁が立ちはだかる。カスタムIEMや交換ケーブルなどはそもそも試聴できる環境が稀なため、購入を検討する顧客は友人や仲間内の機材を借りて試聴するといったことも珍しくない。

各ブースの試聴席がなかなか空かないほどの盛況ぶりだ

 参加者からは「やっと名古屋に来てくれた」と歓迎する声があがった。浜松からやってきたという男性にイベントの感想を聞いたところ、「気になっていた機材があったけど、なかなか聴く環境がなかった。聴いたらますます欲しくなった」と話していた。中には「これだけ人がいれば、来年もきてくれますかね」と、早くも次回の開催を望む声もあった。

参加者の音への情熱は東京と変わらない

 出展者にとっても今回のイベントは刺激になったようだ。複数のブースで担当者に話を聞いたところ、参加者の熱心さに驚く声が異口同音に聞かれた。質問の内容や問題点のレベルも東京でのイベントと遜色ないほどマニアックだ。昨年末からPolk Audio製品の取り扱いをはじめたMSYの平野氏は、「お客さんが非常に熱心に試聴してくれます。メーカーの方と直接話せるのが良いとおっしゃってくださる方もいらっしゃいました」と名古屋の参加者の反応を話した。

 パイオニアのポータブルヘッドフォンアンプ「XPA-700」の製品企画を担当したパイオニアの林佑二主事林氏は「(XPA-700の)ロックレンジアジャスト機能を試すためだけに、わざわざ普段お使いの開放型オーバーイヤーを持ち込むお客さんもいらっしゃいました。参加者の熱量は東京と何ら変わらないですね」と話していた。「再生環境にしたってプレイヤーとアンプの2段重ね(を参加者が持ち込むこと)は当たり前です。興味深いのはそれが例えばソニーさんといったマスなブランドではなく、ヘッドフォンアンプ専業メーカーのものであることが多いということです。それぞれ情報を仕入れて、自分の好みに合いそうなものを選ぶというこだわりが強く見られます」(林氏)。

Astell&Kernなどの高級プレイヤーも人気で、試聴のため多くの参加者が集まった

 「UniqueMelody」や「1964ears」といったカスタムIEMなどを取り扱うミックスウェーブ営業部の宮永賢一氏も「情報的には非常に詳しい方が多いです。みなさん情報通で、非常に勉強熱心ですね」と語り、名古屋のオーディオファンの情報量に驚いていた。しかし宮永氏は「ですが、実際に製品の音を耳にするのは初めてだという人は多いです」と続ける。「名古屋ではおそらく1か所しか耳型採取ができる場所がなかったはずです。視聴機を置いている店舗もなく、今まではなかなか実際の製品を体験していただける機会がありませんでした」(宮永氏)。

 購入のためにわざわざ東京へ出向く人も少なくないなど、オーダーメイドとなるカスタムIMEは、実際の製品に触れるのが難しい。それだけに今回のイベントは思う存分製品の良さを体感してもらえる格好の機会だ。インタビュー中に隣で2ドライバーモデルの「1964-V2」を試聴していた参加者が、すぐ後に3ドライバーの「1964-V3」を視聴し、「こっち(V3)聴くとテンション上がりますね」と、感想を述べていた。

予想以上の盛況ぶりに確かな手応え

入場口で来場者を出迎えた松田信行氏

 多くのブースで、来場者が予想以上に多いことに驚く声が上がった。2月に新型ヘッドフォン「PM-3」とポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」を発表したばかりのOPPOブースでは、試聴希望の参加者が途切れず、担当者が昼食をとることもなかなかできないほどの盛況ぶりだった。

 会場の入口でパンフレットを渡し、来場者を出迎えていたタイムマシン(eイヤホンの運営会社)広報部の松田信行氏は、「今日は想定以上に多くのお客さんがいらっしゃって、ほっと一息です」と笑顔をみせた。「過去に似たような地方イベントがあったみたいですが、その時は来場者が少なく成功とは言えない結果だったそうです。なので正直、ふたを開けてみるまで不安でした。次回は広島ですが、そこが1つ正念場になるでしょう」(松田氏)。

 次回は3月29日の11時から18時に、広島の「ワークピア広島 芙蓉」で行われる。

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