ITmedia NEWS >

ノイキャン体験を革新する“ソニーの勝負ヘッドフォン” ――「MDR-1000X」開発者インタビューワイヤレスで行こう!(1/4 ページ)

» 2016年10月07日 09時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 ソニーがBluetoothワイヤレス再生にアクティブ・ノイズキャンセリング、タッチセンサーによるリモコン操作への対応などポータブルオーディオの先進技術をまるごと“全部入り”にしたプレミアムヘッドフォン「MDR-1000X」を発売する。エッジの効いた新製品誕生の舞台裏を、ソニーの開発担当者に聞いた。

ソニーのBTワイヤレス、アクティブNC、タッチセンサーリモコンなどアクティブタイプのヘッドフォンのための先端技術を惜しみなく投入した新モデル「MDR-1000X」
amazon

 今回の取材に応えていただいたのは、MDR-1000Xの商品企画を担当した大庭寛氏、プロジェクトリーダーの渡辺直樹氏、音響設計を担当した井出賢二氏、機構設計に携わった横山智優氏の4名だ。

左から、ソニー ビデオ&サウンド事業本部 企画マーケティング部門 商品企画部 Sound商品企画1課 プロダクトプランナーの大庭寛氏、ソニービデオ&サウンドプロダクツ V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計2課の横山智優氏、同じくV&S商品設計部門 機構設計部 機構設計4課の井出賢二氏、同じくV&S商品設計部門 モバイル商品設計部 商品設計2課 エレクトリカルマネージャーの渡辺直樹氏

MDR-1000Xは長い開発期間を経て誕生した“ソニーの勝負ヘッドフォン”

 ソニーはこれまでにも数多くのワイヤレスヘッドフォンや、アクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するヘッドフォン/イヤフォンを世に送り出してきた。現行ラインアップの中ではスタンダードクラスの「MDR-ZX770BN」、今年春に発売されたハイレゾ対応のh.ear on Wireless NC「MDR-100ABN」などが代表的な製品だ。

 まず、新しく加わるMDR-1000Xの位置付けと立脚するコンセプトの違いを大庭氏に訊ねた。ソニーでは2013年頃から本機のベースとなるノイズキャンセリングとワイヤレスの基礎的な技術検討を開始していたのだという。商品開発の足場は2014年から固まりはじめて、以後約2〜3年という、近年のデジタルAV機器としては比較的長期に渡るプロジェクトが実を結んで、完成したヘッドフォンだったのだ。

 「ソニーは長年、ヘッドフォンのためのアクティブ・ノイズキャンセリング技術の開発に注力してきました。また近年のオーディオのハイレゾ化、ワールドワイドに高まるBluetoothワイヤレス化の機運を受けて、この機会にアクティブタイプのオーバーヘッドフォンの最高峰モデルを作りたいという思いから開発陣が立ち上がりました。それまでの技術資産の延長線だけでなく、まったく新しい技術を生み出すことにも挑戦しながら、今年の秋をターゲットに作り上げたヘッドフォンがMDR-1000Xです」(大庭氏)

ヘッドバンドとアームをつなぐ回転部分の機構などトルク感を最適化。部品も徹底的に軽量化して快適な装着感を実現している
ヘッドバンドには上質なメタル素材を採用。グレーベージュのカラバリモデルはヘッドフォンが主張しすぎないプレミアムなカラーに仕上げている。女性にも選びやすいシックな色合いだ

 MDR-1000Xは数あるソニーのヘッドフォン製品の中で、「全部入りの最上位モデル」に君臨するプレミアムモデルだ。バランスの取れたハイレゾ対応の高音質は「MDR-1」シリーズの血統。春に発売されたMDR-100ABNもハイレゾ対応の全部入りヘッドフォンだが、デザインコンシャスな観点から練り上げてきたh.earシリーズのトップエンドであるMDR-100ABNに対して、MDR-1000Xでは最高の音楽体験を実現することが上位のテーマにあり、これに従う機能美を追求してきた。つまり起点と着地点が全く異なるヘッドフォンなのだ。例えばMDR-1000Xにはハイレゾ対応のフルデジタルアンプ「S-Master HX」や、アップスケール機能「DSEE HX」が採用されているところなどに、音に対する妥協のないこだわりが感じられる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.