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思わずファインダーをのぞきたくなるミラーレス、富士フイルム「X-T20」(2/3 ページ)

» 2017年03月02日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

上位機を受け継いだ2430万画素で高感度にも強い高画質

 X-T20はX-T2と同じ約2,430万画素のAPS-Cサイズの「X-Trans CMOS IIIセンサー」を持つミラーレス一眼である。

X-T20を正面から。センサーはAPS-Cサイズ。ガン見するとセンサー中央の正方形エリアだけちょっと色が違う。ここが像面位相差センサーエリアだ
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 センサーの名前は長いけど、要するに、富士フイルム独自デザインでローパスフィルターレスでもモアレがでづらく、解像感をあげたCMOSセンサーと思えばOKだ。手ブレ補正はレンズ側で行うためボディ内には持たない(ちょっと残念)。

 センサーの中央部(横50%、縦75%のエリア)には像面位相差センサーを持っており、AFは超高速。AF-C時の追従性も高い。これはX-T2と同じだ。このクラスではけっこう破格の性能であり、トップクラスだ。

AFは高速で走ってくる被写体にもさっと合う。これはAF-Cで連写したもの(83mm相当 1/1250秒 F4 ISO400)

 連写性能はAF追従で秒8コマ。

 電子シャッター時は約秒14コマまで速度を上げられるが、電子シャッター時のローリングシャッター歪みはけっこう目立つので、高速に移動する被写体を撮るときはメカシャッターを使うのがお勧めだ。

 シャッタースピードはメカシャッターで最高1/4000秒、電子シャッターで1/32000秒となる。

 ISO感度は200から12800だが、拡張感度としてISO100からISO51200まで広げることができる。

 高感度時の絵をISO6400からISO51200までで比べてみたが、かなり優秀。ISO6400でも十分使えるレベルで、ISO12800でもなんとかOK。他社のミラーレス一眼より高感度時の絵はいい。ディテールがしっかり残っているし、色もしっかりしている。

 これは優秀である。

左上から、ISO6400、ISO12800、ISO25600、ISO51200。ISO25600以上は拡張感度扱い。比較しやすいよう、それぞれ同じ箇所を等倍表示した
猫がいるカフェでとことことやってきた猫を。やや暗い店だったのでISO3200に。ISO3200とは思えないほどの写りだ(27mm相当 1/105秒 F2.8 +0.33 ISO3200)

 X-T20はX-T2と同様、マニュアル撮影を楽しみたい人向けの操作系で、撮影モードダイヤルがない代わりに、レンズの絞り値をAにするとシャッタースピード優先AEに、シャッタースピードダイヤルのポジションをAにすると絞り優先AEに、両方をAにするとプログラムAEになるという慣れるとシンプルで分かりやすい構成である。

 ISO感度だけは専用ダイヤルがないためメニューを介するか操作のカスタマイズが必要だ。さらに、X-T2にはなかった「シーン自動認識オート」モードも用意されている。上面のAUTOレバーを入れるだけで自動的にフルオートになるのだ。

シャッタースピードダイヤルの根元にあるレバーをAUTOに入れると自動的にシーン自動認識オートに切り替わる。いざというとき便利

 これはよい!

 困ったら、あるいは予想外の被写体に出会ってさっと撮りたいと思ったらこのレバーを入れればいいのだから。オートにすると人物・風景・夜景などを自動認識してくれるし。

シーン自動認識で撮影したポートレート。外光が入る屋根の下という人物撮影的にはあまりよくない照明下だったが、実にその場の雰囲気を生かしたポートレートに仕上げてくれた(76mm相当 1/110秒 F4 +1 ISO400)

 富士フイルムならではの風合いといっていい。

 続いてオートで撮った夜景。自動的に夜景と判断された。まあこれだけ暗ければそうだが、フルオート時はISO3200まで上がる。

目黒川旧河口の船だまりの夜。ISO3200でこのクオリティは気持ちいい。特にシャドウ部がぐっと締まっているのでノイズも目立たない(40mm相当 1/4秒 F3.2 ISO3200)

 もう1つオートで撮ったいつものガスタンクを。

ディテールの描写力も高く、階調も滑らか。青空がいい感じの青空なのは富士フイルムらしさである(27mm相当 1/750秒 F8 ISO200)

 青や緑がすごくきれいに出ること、階調が滑らかなこと、シャドウ部を無理に持ち上げずぎゅっと締めてくること、ディテールがしっかりしていること(これはレンズにもよるが)。

 画質面ではさすが富士フイルムの長年の伝統って感じだ。

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