最新のデジタルガジェットをどんどん「分解」し、写真レポートや分解・修理マニュアルを無償で提供している米iFixit。同社は6月29日(現地時間)、オランダに本部を構える環境保護団体Greenpeace(グリーンピース)の「Rethink ITキャンペーン」に賛同し、スマートフォン、タブレットやノートPCの“修理しやすさ”の格付けを同キャンペーンのサイトに公開した。
そもそも、iFixitはどのような考えのもとに生まれ、運営されているのだろうか。創業者であるカイル・ウィーンズCEOがグリーンピース・ジャパンとの共催イベントで語った。
自分の持ち物を自分で修理する方法を学んでもらう――iFixitの使命をウィーンズCEOはこう語る。その原動力の1つが「Repair is noble(修理は尊い)」という考え方だ。
しかし、昨今のデジタルガジェットは設計的に「修理不可能」あるいは「修理困難」であるものが少なくない。ウィーンズCEOの言葉を借りれば「Throwaway Cluture(使い捨て文化)」になってしまっている。
ウィーンズCEOは「修理好きのエンジニア」として、そのような習慣を変えたいと語る。
iFixitが「修理しやすい製品」にこだわるのは、学生時代の体験がきっかけだ。
まだ学生だった頃のウィーンズCEOはある日、Greenpeaceのレポートを読んだ(筆者注:「Poisoning the poor Electronic waste in Ghana」のことであると思われる)。「Greenpeaceの言っていることが間違っていることを証明しようというつもりでガーナに行ってみた」という若きウィーンズCEOは、レポートに書かれている通りの光景を目の当たりにした。「リサイクル場」であるはずなのに、それとはほど遠い、効率の悪すぎる「リサイクル」が行われていたのだ。
であれば、より効率の良いリサイクル施設を作れば良いようにも思える。しかし、タッチパネルに使われるインジウムや、バッテリーに使われるリチウムのように、「日本のような高いリサイクル技術を持つ国であっても、リサイクルできない物質もある」(ウィーンズCEO)。
「持続可能な開発」ならぬ「持続可能なガジェット」を考えると、1つのガジェットをなるべく長く使える仕組みが必要となる。その観点から、ウィーンズCEOはユーザーに近いところでサイクル(循環)できる“修理”に着目し、iFixitの設立につなげたのだ。
分解した製品の画像や修理方法を公開する上で、初期のiFixitはApple製品の分解で知られる日本のWebサイト「KODAWARISAN(こだわりさん)」に着想を得たという。
ウィーンズCEOはKODAWARISANの運営者とも交流があり、最近iFixitのリペアツールを寄贈したそうだ。すると、KODAWARISANにiPhoneのきれいな分解写真がアップされた。
世界的に有名な分解サイトが、日本の分解サイトに着想を得たと聞くと、どことなくうれしくなる筆者であった。
今回、iFixitはGreenpeaceと協力した取り組みを行ったが、今後もさまざまな企業や団体と協力して「修理しやすいガジェット」の普及に取り組むという。
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