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ソニーの“肩のせスピーカー”「SRS-WS1」を装備してみた――これは次世代のスマートスピーカーか?(2/3 ページ)

» 2017年09月28日 06時00分 公開
[山本敦ITmedia]

低域の音声信号を受けると本体が震える

 本体の左右それぞれに30mm口径のフルレンジスピーカーを1基ずつと、低音を増強するパッシブラジエーターを搭載している。身に着けた状態で耳の側を向いたスリットの隙間から力強い音が放出される。さらに70〜80Hz以下の低音を再生したときには、本体がブルッと震えるバイブレーション機能を搭載。映画やゲームのアクションシーンを派手に盛り上げてくれるのだ。本体のボタンをクリックすると低音の出方を強、中、弱の3段階で設定できる。音のバランスは“中”の状態で最適化されていて、“強”にすると振動がアップ、“弱”ではほぼバイブが感じられないぐらいにカットされる。

スリットの中に30mm口径のフルレンジユニットを搭載。ディフューザーで音を広げる。電気的な処理でサラウンド効果を加えるような機能は持っていない
電源ボタンの隣にある線が波打つようなデザインのアイコンをクリックすると弱、中、強の3段階でバイブレーターが切り替わる
バイブレーターの強度に合わせてLEDランプが点灯する

 ソニーがデジタル方式のワイヤレス・サラウンドヘッドフォンやウォークマンなどに採用してきた「VPT」(Virtualphones Technology)のようなバーチャルサラウンド機能は一切搭載してないのに、身に着けて音を鳴らすと豊かな広がりが感じられるのは、ソニー独自のスピーカー設計技術のノウハウが生きているからだ。ボリュームを上げていくと、装着している本人だけでなく周りにいる人まで音を聞き取れるぐらいパワーも出せる。イヤフォンやヘッドフォンのように周囲に音が漏れないよう、気をつかいながらプライベートリスニングを楽しむためのデバイスとはまた立ち位置が少し異なっているが、音楽を体で感じられるスピーカーの本質的な魅力を手軽に味わえるという意味で興味深い製品だと思う。

ボリュームの調節も本体のボタンで行う。充電用USBポートに、本体パッケージに同梱されるアナログオーディオ変換ケーブルをつないでスマホやゲーム機につなぐ

リビングにあるテレビの音が、キッチンでもきこえるぞ!

 実機を借りて、まずリビングのテレビに接続して使ってみた。確かに驚くほどテレビの音がよく聞こえる! これは快適だ。ニュースやバラエティ番組は画面から目を離しながら野菜をきざんだり、鍋をかき回しながら音だけで聴いても番組の展開がフォローできる。料理をがんばっている人が、ほかの家族との会話から1人だけはぐれてしまう悲しみとも、もうさよならだ。

キッチンで水仕事をしながら使ってみた。テレビの音が鮮明にきこえる!これは驚くほどスマートだ

 筆者は本機のようなワイヤレススピーカーをずっと心待ちにしていたように思う。というのも、キッチンに立って料理や皿洗いをしていると、周囲の音にかき消されてテレビの音や音楽が全然きこえなくなるのがストレスに感じられて仕方がなかったからだ。ソニーの“お手元テレビスピーカー”「SRS-LSR100」も試してみたことはあるのだが、結局スピーカーをかなり近づけるか、ボリュームを上げないことには音は聞こえづらいままだった。目の前にあるシンクに、蛇口から注がれる水がたたきつけられて響く音の方が大きいからだ。ワイヤレスヘッドフォンやイヤフォンを使う手も考えたが、今度はまわりの音がきこえづらくなって危なく感じられることもある。“身に着ける開放型のスピーカー”は今のところキッチンで最強のソリューションだと思う。

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