パナソニックが2018年1月に発売するミラーレス一眼「G9 PRO」(型番:DC-G9)は、本気でプロカメラマンの市場を目指した意欲作だ。超高速撮影や耐久性に力を入れるとともに、AI(人工知能)技術の1つであるディープラーニングを用いた「人体認識」など新しいアプローチも加えた。
人体認識は、「顔・瞳AF」(オートフォーカス)の進化形。従来の顔認識技術では対応が難しい、「横を向いている人」や「人の後ろ姿」でも人を捉え続け、シャッターチャンスを待つための技術だ。例えばスポーツカメラマンがフィールド上の選手を追いかけるといった場面で効果を発揮する。
パナソニックは、数万件に上る人の画像を集め、それぞれに情報を付加してディープラーニングを行った。これを元に“人の形”を認識するアルゴリズムを開発してG9 PROに実装。画像処理エンジン「ヴィーナスエンジン」に統合されたDSP(デジタルシグナルプロセッサー)が毎秒12コマで人の形を認識する。フレーム内に複数の人を検知した場合は撮影者が選択できる。
ただし、現状ではいくつかの制約がある。例えば人の上半身は認識するが、下半身だけでは難しい。映像がボケていると認識精度が落ちる。なにより毎秒12コマではスポーツカメラマンの求めるレベルに達していない可能性がある。発表会場ではサッカー撮影を意識した技術展示を行っていたが、担当者は「そこまで激しくないシーンなら活用できる」とするにとどめた。認識速度の向上には処理能力アップが必要になる。
一方、機械学習を進め活用シーンを広げる考えも示した。「自動車や飛行機、動物など、人以外にも“動くもの”はたくさんある。カメラマンのニーズに応える形で強化していく」
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