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すべての家電にLPWAを——パナソニック、“共創”でIoT家電に本腰(1/2 ページ)

» 2018年03月02日 09時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 パナソニックは3月1日、家電事業の方向性を示す「家電ビジョン」を発表した。すべての家電をネットワークにつなぎ、家電同士が連携して新しい価値を生み出すというもので、同時に通信インフラを提供するNTTドコモなど3社との協業も発表。パートナー企業と協力して製品の開発速度を上げる“共創”(オープンイノベーション)の姿勢を強く打ち出した。

パナソニックアプライアンス社の本間哲朗社長

 パナソニックアプライアンス社の本間哲朗社長は、「30年前、家電は憧れの対象だった。家電事業を通じてこれからの“暮らしの憧れ”を作り出し、世界の人々に届ける。これがわれわれの仕事だ」と話す。「『これでいい』ではなく『これが欲しい』と言われるために何が必要か。個別に機能を提供する家電にとどまらず、家電同士が連携して新しい体験をもたらす。さらにはコミュニティーやソサエティーと連携する」とした。

すべての家電をネットワークにつなぐ

 パナソニックはBlu-ray Discレコーダーやポータブルテレビでスマートフォンからの番組検索や録画予約が行えるサービスを提供するなど、以前からネットワークにつながる家電に取り組んできた。しかし実際の接続率は低く、テレビやレコーダーで約30%、エアコンなどの白物家電では約15%にとどまるという。

 接続率向上の切り札として選んだのが、省電力の広域無線通信技術「LPWA」(Low Power Wide Area)だ。家電は、電源を入れるだけで自動的にクラウドサービスに接続する仕組みで、ネットワーク設定など煩雑な作業を排除し、導入のハードルを下げる。

LPWAで家電をクラウドにつなぐ

 パナソニックとNTTドコモは、18年秋をめどに東京、大阪、滋賀の3都府県で1000台規模のLPWA対応家電を用いた実証実験を行う計画だ。NTTドコモ常務執行役の古川浩司氏は、「LPWAは長距離通信、大量機器接続、低消費電力、低コストといった特徴があるIoTに最適な通信手段。ドコモは多様な通信方式のLPWAサービスを提供しているが、取り組みの中で通信技術のほか、家電コントロールやエージェントサービスの有効性も検証していく」という。ドコモが18年春に開始する「AIエージェントサービス」の利用も視野に入れ、共同でIoT家電向けのクラウドサービスを企画、開発する。「将来的には年間数百万台といわれる家電の接続をサポートする」(古川氏)

発表会場にはNTTドコモが提供するLPWAネットワークの1つ「LoRa」の基地局を展示。920MHz帯を使用する免許不要の長距離、低消費電力、低速(上り/下りとも300〜11kbps)の通信技術だ

 ユーザーインタフェースとしてスマートスピーカー対応も進める。パナソニックは17年9月の「IFA」で「Googleアシスタント」搭載のスマートスピーカー「SC-GA10」を発表し、この冬から欧州の一部地域で販売を開始している。本間氏は、日本でも18年度中をめどにAIスピーカーとAIアシスタント搭載ヘッドフォンを展開すると明言。宅内のみならず外出先でも「AIエージェントとの対話を通じてユーザー個々のニーズに応えるIoT家電を実現する」とした。さらにLINEとの協業にも触れ、「Clovaとの連携も今後進めていく」という。

18年度中をめどに日本でもスマートスピーカーとAIアシスタント搭載ヘッドフォンを展開
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