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脱「スマホのコンパニオン」 変わり続けるスマートウォッチが目指すもの(3/3 ページ)

» 2018年03月09日 13時39分 公開
[山本敦ITmedia]
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 アウトドアツールとしての高い信頼性と軽快な操作性を追求してきたWSD-F20の特長を承知の上で、筆者はふだん本機を使いながらもっとカジュアルな用途に使える機能も拡充させてほしいと思うことがある。本機にはマップデータの上に行動の軌跡を音声メモやマーカーを立てて残せるオリジナルマップの作成機能「ロケーションメモリー」が搭載されている。マーカーは多彩な種類のものが揃っているが、例えば家族や恋人とリゾート気分で旅行に出かけた時にも役立つ「ショッピング」や「映画鑑賞」などカジュアルなマーカーをダウンロードで追加できたらうれしい。もしPROTREKシリーズ以外にも、オシアナスやエディフィスなどのシリーズでスマートウォッチを展開する際には、本機と少し雰囲気の違うロケーションメモリーが搭載されたら面白そうだ。

スマートウォッチの「スマートホーム連携」はどこまでできる?

 スマホやタブレットに比べると、スマートウォッチの普及はここまでやや緩やかだったように感じられる。一方ではこれから製品の種類が増えて、筆者のように自分の生活に合ったスマートウォッチの使い方を見定めることができたユーザーが増えてくれば、いずれはスマホやタブレットに迫るスケールまでスマートウォッチは普及すると考えている。その普及の鍵を握るもう1つのテクノロジーが“スマートホーム連携”だ。

 Googleは日本でも発売されたスマートスピーカー「Google Home」のほか、スマートOSを搭載するテレビや、新カテゴリーの“スマートディスプレイ”、ヘッドフォンやイヤフォンにも独自のAIアシスタントであるGoogleアシスタントとボイスコントロールによるユーザーインタフェースを広げようとしている。そのスマートホーム戦略の中にスマートウォッチはどのように位置付けられているのだろうか。カシオが開催したイベントに出席した米GoogleのLeor Stern氏は、「Googleは全てのユーザーに、スマート家電やIoTデバイスを活かしたより便利な生活を提案したいと考えています。そのためにスマートウォッチは欠かせない端末の1つ」と話していた。

Android Wearの最新事情をコメントしてくれたのは米グーグルのAndroid Wear Product Operation担当のLeor Stern氏

 17年にスマートスピーカーやスマートフォンで話題を呼んだGoogleアシスタントは、カシオのWSD-F20などAndroid Wearを採用したスマートウォッチにも搭載されている。筆者も手もとのWSD-F20で改めてGoogleアシスタントの使い勝手を試してみた。

 Googleアシスタントを使うため、まずWSD-F20をスマホ経由、または単体でWi-Fiを使ってインターネットにつないでおく。内蔵マイクに向かってトリガーワードである「OK, Google」を発声するか、または電源ボタンを長押しするとGoogleアシスタントが立ち上がる。日本語音声入力にも対応しているので、例えばメモを残したり、メールを登録されている指定の宛先に送ったり、タイマーや目覚ましのセット、ペアリングしたスマホで音楽再生、天気予報やGoogleマップでの道のり検索といったことが声だけで操作できた。

 一方、スマートホーム機器との連携については日本語対応がまだ完全ではないようだ。Android Wearアプリからウォッチの設定画面にアクセスして言語設定で日本語を選択してもEnglishにリセットされてしまう。GoogleのStern氏の説明によれば、米国では宅内のスマート照明の操作やIFTTTアプリとの連携がもうできるようになっているという。筆者も自宅の環境で英語での音声入力も含めて試してみたが、スマホならできることがスマートウォッチからではうまく動作しない。スマートウォッチからスマートホーム機器が音声でコントロールできるようになれば、例えばキッチンに立っていて手が離しづらいときには、離れた場所にあるスマートスピーカーに大声で話しかけるよりもストレスを感じないかもしれない。いずれ日本で正式にスマートホーム連携が対応する時が訪れることを待ちたい。

Android Wearアプリからアシスタントの言語を選択。左の画面の通り「日本語」はリストに並ぶのだが、選択しても「English」にリセットされてしまう

 これからのスマートウォッチは、単体のデバイスとしてはWSD-F20のように「アウトドアツール」だったり、スポーツ、ヘルスケアなど、ある程度用途を特化させながら、独自のキャラクターを持たせる方向に進化していくことが望ましいと思う。やたらとカメラやセンサーを取り付けて“ごった煮”にしても大きな画面を見ながら操作できるスマホの利便性にはかなわないだろうし、多すぎる機能は使いこなせない。ならば手首の位置にあって、常に肌に触れているスマートウォッチにしかできないことの方を磨いていくべきだ。もし多機能性を磨くのであれば「スマートホーム連携」については、これからまだやれること、やるべきことがたくさんあると思う。スマートウォッチが本格的なコネクティビティを持つようになった時、いよいよ“第4の波”がやってくるだろう。

スマートスピーカーからリビングのテレビでSpotifyの音源再生を指示。その後の曲送りや一時停止・再生操作はスマートウォッチからリモコン操作ができた
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