人の暮らしに欠かせない「衣食住」の中の1つ、「住まい」。人のライフスタイルが様々になったように、住居形態や住み方にもたくさんの選択肢が増えました。でも、あなたは自分に本当に合う住居スタイルをすぐにイメージできますか? 本連載では、住まい選びをする際のお手伝いとなるポイントをまとめていきます。
※本記事はHOME'S CLUBが執筆しています。本記事のテーマに関連するさまざまな調査結果や、住まいにまつわる一般の声についてはHOME'S CLUBの「住まいの選択、完全理解!」で読むことができます。
マンションと一戸建て。同じ立地で比べたら、一戸建てのほうが断然高額なのは常識です。敷地を数十世帯、数百世帯で共有するマンションに対して、狭いながらもすべて個人で所有する一戸建て。価格全体に占める土地のウェートが重い分だけ一戸建てが高額になるという構図は、バブルとともに土地神話が崩壊した後も変わりませんでした。新築物件をほぼ同程度の価格で探すと、一戸建ては郊外にならざるを得ないでしょう。
土地分が高いと固定資産税評価額も高くなり、それをもとに算出される各種の登録免許税が高くなってきます。この事例ではざっと2倍。ちなみにこれでも一定の要件を満たした住宅ということで、税率が軽減されているのですが、軽減された税率も土地にかかる分は建物分よりも高いのです。しかし、一戸建ては一般には管理準備金や修繕積立基金が不要。これが大きい! 頭金を無視すれば、その分で税の負担増とほぼ相殺。事例のように、初期投資がマンションより軽くなる場合もあるのです。
国土交通省の平成18年度住宅市場動向調査報告結果によると、分譲住宅を買った人の「今回の住宅に決めた理由」の第1位は、「住宅の立地環境が良かったから」。全国平均で56%、首都圏で59.9%、中京圏で59.2%を占めています。ところが近畿圏では事情が変わり、「一戸建てだから」が60.2%で断然のトップを占めているのが面白いところです。
全国平均でも48.6%が一戸建てへのこだわりを示している一方で、マンションはあまり積極的に評価されているとはいえません。「マンションだから」と選んだ人の割合は中京圏の17.6%が最高で、近畿にいたっては10%割れという、政権末期のような支持率に止まっています。やはり根強い一戸建て神話。ちょっと無理してでも買えるものなら一戸建てを選びたい。外国人に比べてプライベート・テリトリーがはるかに狭い日本人ですが、これが偽らざる本音なのかもしれませんね。
マイホームを購入する際にかかる税金は、一定の要件を満たせば軽減されます。新築住宅の場合は、取得後1年以内に登記したもので、床面積が50平方メートル以上あれば、建物部分の所有権移転登記の登録免許税の税率が0.3%に。本来は2.0%ですから、基準となる固定資産税評価額が1000万円だとしたら、20万円徴収されるところが3万円で済む計算です。同じく所有権保存登記は0.4%のところが0.15%に軽減されるので、4万円が1万5000円に。この軽減措置はとりあえず平成21年3月末まで続きます。
土地は税率が違います。所有権移転登記の税率2.0%のところが、要件を満たす住宅が建つ土地の場合は1.0%に軽減。こちらの措置は平成20年3月末で廃止される予定です。だからそれまでに買った方がいい、などとあおるつもりはありません。政権の行方や経済情勢次第で延長される可能性も高いですからね。
この軽減措置を受けるには、住宅のある市区村長の発行する「住宅用家屋証明書」を添付して、こちらから申請する必要があります。うっかりしていて1年以上放置してしまうと、受けられなくなるので要注意です。
最近の新築マンションでは、修繕積立基金や管理準備金などを購入時に支払うケースが一般的になっています。マンションは築後10年20年と経過するに連れて、外壁が汚れたり、ポンプなどの機械設備が故障したり、さまざまな理由から共用部分のメンテナンス工事が必要になってきます。また、日常的に清掃をしたり、フロント業務を行ったり、共用施設を運営したりという管理業務一般も快適なマンションライフを送るためには必要です。修繕積立基金や管理準備金は、そのための原資になるお金なのです。
一戸建てならこうしたお金は必要ありませんが、メンテナンスや設備の更新自体はいずれ必要になってきますし、たとえば清掃を外部に頼めばその都度お金がかかります。払う時が来たら、すべて個人負担ですから、それはそれで大変なようです。
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