さて、建物によっては省エネ改修を必要とするものもあるが、自治体にとって資金調達は容易ではない。そこで考え出されたのが「エネルギー契約」というエコビジネスである。仕組みはこうだ。
自治体は専門業者と契約を結び公共施設の改修(特に空調設備)を任せる。改修費用は業者が負担し、自治体が「光熱・水道費の削減費用」から支払ってゆく。改修費に見合った省エネが達成できなければ事業は赤字となるが、改修に先立つ調査も業者が行うためそのリスクも業者が負う。
自治体にとってのメリットは以下のとおり。
例えば市内で最も大きい学校「インターナショナルスクール」の場合。
1970年代に建設された学校を契約業者が45万ユーロかけて省エネ改修し、これによって光熱・水道費の20%削減に成功した。市にとっては年間9万ユーロの経費削減となり、およそ5年で改修費用をペイできることになる。
ここでクリバが果たす役割は、自治体向けのエネルギー報告書の作成を通してエネルギー契約の可能性がある公共施設を洗い出すこと。必要に応じて業者の選定、コーディネート、契約にもかかわる。
エコロジーの取り組みは「環境にいいことをしよう!」という環境意識への訴えが基本になくてはならないが、継続的な発展にはビジネスとして成り立つことが不可欠だ。エネルギーエージェンシーのビジネスモデルはその好例といえよう。
エネルギー契約の仕組み(模式図、出典:KEA)。縦軸:光熱・水道費、横軸:年、緑:光熱・水道消費量、オレンジ:光熱・水道費。改修により光熱・水道消費量は20%減少。そこで浮いた光熱・水道費を業者への支払いにあてる
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