テレ朝・角澤アナが語る、スポーツ実況の内幕(5/5 ページ)

» 2009年07月24日 07時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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アナウンサーに適している人とは

角澤 アナウンサーに適しているのはどういう人か。結論から言うと、これに正解はまったくありません。自分のことを振り返ってみても、その時テレビ局が欲しがっていた人材だったわけで、自分が開けた扉の中にいた面接官と自分の相性など運もかなり左右します。

 アナウンサーになるためにやっておいた方がいいことは、テレビ局に入りたい人はテレビを見てくださいということです。テレビが大好きな人にテレビ局に入ってきてほしいと思うので。それと、テレビ、ラジオ、活字など、メディアと呼ばれるものは嫌というほど見てほしいと思います。また、僕は個人的には旅行をいっぱいしました。国内外の旅行にアルバイト代を費やしました。旅行って楽しいんですよね。出会いがいっぱいあって得るものも多いのですが、会社に入るとなかなか時間がないので、学生のうちに旅行はしておいた方がいいと思います。それも一人旅、一人で旅行するといっぱい得るものがあります。

 今日100人いたら100人とも信じてもらえないと思うのですが、大学時代の僕はめちゃくちゃ根暗な学生でした。中学高校と6年間男子校で、男子校でも遊んでいる男の子はいたのですが、僕は女の子とお付き合いしたことはほぼありませんでした。大学時代から赤面症で、会社に入っても人見知り。新人は映画試写会の司会などで人前に出ていくことがあるので、幸いにして赤面症は入社3年目ぐらいでようやく直りました。ただ、人見知りはなかなか直らなくて、今も一生懸命喋ろうとしているのですが、目を細めて皆さんの顔をぼんやりさせて見ないようにしています。目が合ってしまったら僕は終わりなんです。何でこの仕事しているのかなという感じなのですが。

 そういう性格はテレビ朝日の面接でも見抜かれていたとは思うのですが、もし引っ込み思案な人がいたら「こういう人間でもなっているんだ」と思ってほしいですね。僕は元赤面症で人見知り、ただここがポイントなのですが「引っ込み思案なんだけど目立ちたがり屋」なのです。すごい引っ込み思案でこうやって表に出て喋ったりすることは苦手なのですが、何かやっているのを見た時に「自分だったらもうちょっと面白いこと喋れるのになあ」とか人の後ろに隠れながら言っているようなタイプなのです。

 慶應義塾大学では卒業する時に、園遊会というパーティーみたいなことをします。グランドプリンスホテル新高輪を貸し切って大パーティーをやって、最後にサークルごとに部屋をとって朝まで語り明かしました。「学生という人生最大の長期休暇が終わるよな」という話をして、朝、日が昇るのを見て「うわあ嫌だな、社会出るの嫌だな」とみんなで話していたのを覚えています。

 でも社会に出るとそんなことは全然なくて、むしろ社会に出てからこそやれることがあると今は思っています。“大人になるのが嫌だった症候群”が僕はあったのですが、今はそんなに歳をとるのが嫌ではなくて、いろんな人に出会えるし、いろんな人からいろんなことを教えてもらえるし、日々勉強です。学生の頃、社会に出たり、大人になるのがとても嫌だったのですが、同じような思いを持つ人も「大人になるのって悪くないんだよ」といつか思えるようになるのではないでしょうか。

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