こんなエコの旅はいかが? ヨーロッパ国際列車で“仕事を忘れて”松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2009年07月28日 08時12分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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気になる安全性

 慣れない土地で長距離列車を使うのは何かと心細いもの。どれだけ安全で、どういうトラブルが考えられ、どう気をつけなければいけないのか、あらかじめ知っておくことが肝要だ。

 まずは安心できる話から。

 これまで使った鉄道のなかで一番安全と感じたのはスイス。スイスの列車は運行時間も正確で「1分たりとも遅れない」のがモットーだとか。この几帳面さはヨーロッパの中にあっては非常に珍しく、感覚が日本の鉄道と近いように感じられる(列車の清潔さはドイツ鉄道が一番)。写真の子どもたちは大人なしで特急列車に乗っていた3人組。乗車駅へは祖父母が送り、下車駅では両親が待っているそうだが、それでも子どもだけで3時間の旅をさせられる安心感はスイス鉄道ならではだ。

スイスの特急列車で旅する3人組

 次は不安になる話し。

 残念ながら国際列車は置き引きが多く、かく言う筆者も何度かやられたことがある。一度は頭の上の棚に置いた小さなバックが消え(ベルギー・ブリュッセル付近)、もう一度は夜行列車でカバンからノートPCを抜き取られた(オーストリア・ウィーン付近)。

 盗られたことはもちろんショックだが、それに追い討ちをかけたのが警官の対応だ。ブリュッセル駅の鉄道警察に駆け込んだところ、詰めている警官は「それでどうしたいの?」。これには耳を疑った。盗難にあい警察に来たのだから、当然、関係機関に問い合わせてもらったり、盗難届けを出してもったり、などを期待していた。彼が面倒くさそうに調書を作る姿を見て、盗品が返ってくるという期待ははかなくも消えてしまった。ウィーン駅の警官の対応は人間的だったが、それでも取り戻せる可能性はほとんどないと言われた。いずれにしても、旅行後に盗難保険に申請したければ盗難届けの証書が必要だ。

 そんな危険はあるけれど、置き引きのリスクは旅行者の注意次第でかなり減らせるはず。過剰に臆病となることなく、ぜひヨーロッパ国際列車の旅を楽しんでいただきたい。

注:もちろん警官といっても人によって対応は違う。警察の対応に優劣を付けることが筆者の本意ではなく、あくまで筆者個人がたまたまそういう経験をしたということ。
スイスの特急列車(普通車、左)、スイスの特急列車(グリーン車、右)

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