日本でもAndroidの利用者数がiPhoneを超えた遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(2/2 ページ)

» 2011年08月18日 09時55分 公開
[遠藤 諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研
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Androidユーザーは半年で6倍に増加

 米国では、このモトローラをはじめとする携帯電話メーカーが、1年以上も前にほとんどのモデルをAndroid化している。一方、日本のスマートフォン市場は米国よりも1年遅れて立ち上がった。2007年6月に米国で発売されたiPhoneが(参照記事)、日本では1年後の2008年7月に発売されたからだ(日本では初代iPhoneは発売されず、iPhone 3Gが初のiPhoneとなった)。Androidの普及は、それからさらにずれ込んでいる。

 しかし日本でも、ここにきてどうやらAndroidの利用者数がiPhoneを逆転しているようである。

 アスキー総合研究所では、8月上旬に「MCS(メディア&コンテンツサーベイ) 2011」の「中間調査」を実施した。まだ十分なデータの精査を行っていない速報値的な数値だが、その集計結果からは、Androidの伸び率の高さがうかがえる。

 昨年11月末〜12月初旬の調査では、iPhoneの利用率が3.2%だったのに対して、Androidの利用率は1.1%だった。これが、今回、iPhoneの利用率4.3%に対して、Androidは6.9%まで拡大した。iPhoneも着実に伸びてはいるのだが、Android利用者は6倍にまで増えている。iPhoneとAndroidの利用者数の比率は、だいたい2:3となった。

アスキー総研「MCS 2011」の結果と、8月に実施したMCS 2011の中間調査結果からiPhoneとAndroidの利用率を集計した。なお調査母体の1万人は、PCからのインターネットユーザーを、総務省の公開しているネット人口構成比等に合わせて性・年代別および地域別に割り付けたもので、日本のインターネットユーザー約9500万人の縮図となっている

 先日たまたま、米国に住んでいる知人にスマートフォン市場について聞いてみた。その答えは、「いまiPhoneが売れていますよ!」というものだった。今年2月に携帯事業者最大手のベライゾンがiPhoneの販売を開始。2011年第2四半期の販売データを見ると、AT&TのiPhoneの契約数は前年より増え、ベライゾンはそれ以上のペースで売っている。

 しかし、調査会社の数値を見ると、iPhoneは毎年2倍のペースで伸びているが、Androidはそれ以上に伸びている(参照記事)。今年1月に、Androidがユーザー数でiPhoneを抜き去ったというデータもある。もっとも、iPhoneの場合は単一機種でそのシェアとなっているので、「売れている」というのは間違いない表現なのだろう。

 日本の場合、Androidは昨年春のソニー・エリクソンの「Xperia」の発売くらいから動きはじめて、「Android au」キャンペーンで火が点いた。iPhoneも、2011年4月のホワイトモデルの登場で若い女性たちが飛びついたのはご存知の通りだ。そこでスマートフォンの導入時期について調べてみると、全スマートフォン利用者の約70%が2010年11月以降、そして約45%が2011年3月以降に導入している。つまり、スマートフォン利用者の約半数は、この半年の間に買った人たちなのである。

 「ガラスマ」などとも呼ばれる、日本の携帯電話独自の機能を盛り込んだスマートフォンが、日本では注目されている。スマートフォンでのワンセグ利用率は約22%、おサイフケータイ利用率は約15%だった。これが、Androidにユーザーの目が向かい始めた理由の1つになっているのだろう。なお、Androidの利用機種トップ3は「IS03」、「Xperia」(SO-01B)、「Galaxy S」という結果となった。

 実際に、どんな人がどのスマートフォンを買って、どんな用途に使っているのか? また、どんな消費欲求を持った人たちなのかについては、正式な集計結果が出た段階で、再度、お伝えすることにしたい。【遠藤諭、アスキー総合研究所】

遠藤 諭(えんどう さとし)

ソーシャルネイティブの時代 『ソーシャルネイティブの時代』アスキー新書および電子書籍版

 1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書および電子書籍版)、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。

 コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。


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