人事部による採用はもう要らない?――ソー活はなぜ「気持ち悪い」のかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2013年01月14日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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人事部が採用をしなくなれば、就活・転職は変わる?

 現場では「人は欲しい」とリクエストをすると同時に「できればこういうスキルを持った人を」とオーダーしているはず。ですが、人事部の採用担当者たちは、応募者がそのスキルを持ち合わせているのがどうか、判断することができないのがほとんど。例えば、ブログラマーが欲しいとして、この言語に精通している人が欲しいとリクエストを現場が出しても、応募者がどの程度、その言語を使えるかなど採用担当者にはまったく理解できない。結果として、職務経歴書などで判断しようとしますが、それすら読み解くことは難しいのです。結果として「人柄」や「社風に合う」など、自分たちが分かる範囲で判断して採用してしまうという、ちょっと笑えない話がゴロゴロしています。

 ただ、人事部が採用することによる弊害に気がついている採用担当者も意外に少なくありません。採用のプロセスの中に現場の人間を入れて、細かいアセスメントは彼らに任せているという企業も出現し始めています。中には、人事部が募集はするけれども、ジャッジメントはしない、すべて現場に決めてもらうというところもあるくらいです。また、スタートアップ間近の企業などは、そもそも人事部がありませんから、現場が募集もして、採用もするというケースも出始めています。

 そう、就活・転職市場の新しい流れとして、今年は「脱・人事部採用」元年になる予感がしています。人事部が従来の方法で採用するというプロセスから、人事部ではない現場の人たちが、従来とは違う方法で採用するという中に、ソー活であったり、私がプロデュースするサイトが提唱するスキルの可視化による採用であったり(参照リンク)、はたまたデータマイニングを活用した採用などが増えていく年になるでしょう。

 裏を返せば「採用の専門家」と呼ばれた人たちではない人たちが、人を採る時代になる。いままでの、コミュニケーション能力やリーダーシップなどといった、フワッとした言葉による曖昧な基準の重要度は下がり、誰が見ても一目瞭然な「判断しやすい」指標が用意され、就活生や転職希望者は、それによってジャッジされるのです。

 いまは過渡期ですから、人を採用する企業もどんな指標を用意すれば良いのか、試行錯誤すると思います。が、間違いなく本当の意味での「即戦力(=現場が求めている能力を持っている人)」を採用しなければならないと考える企業は増えるはず。その時に「自分の能力やスキル」を、誰にでも分かる形で提示できない就活生や転職希望者は採用されにくい、そんな時代が、すぐそこまでやってきているのです。自分の能力がどんな職場で活かせるのか、どんな企業で求められるのか、どの程度の市場価値があるのか、これを機に少し考えてみるのも良いかもしれません。

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