海外マーケットの基礎知識ゼロからはじめる株式投資入門(1/3 ページ)

» 2013年11月05日 05時00分 公開
[三井智映子,Business Media 誠]

集中連載「ゼロからはじめる株式投資入門」について

 本連載は、三井智映子著、書籍『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』( 講談社)から一部抜粋、編集しています。

「株価ってどうやって決まるの?」「株式相場の決まりごとって?」「何を買うべきか、どうやって狙うべきか」株の上がり下がりの基礎の基礎から微妙な判断のテクニックまでを網羅。

“美貌の気鋭アナリスト”による初心者向けの「株式投資のイロハ」から、著者と学ぶ銘柄選びのポイントやタイミング、そして応用編のテクニカル分析まで、この1冊で初心者から機関投資家、金融機関の資金調達担当者までが学べる株の実用書決定版!


海外マーケットの基礎知識

 前回、株価に外国為替が影響するというお話をしました。そのなかでもとくに日本経済に影響を与えるのは、やはり米国の景気です。

 米国の株式相場で日本の日経平均株価のような目安となるのが「ニューヨークダウ(NYダウ)」です。ニューヨーク(NY)ダウ平均株価(DJIA=Dow Jones Industrial Average)は、ダウ・ジョーンズ社という米国のニュース通信社が算出していて、1896年に農業、鉱工業、輸送などの12銘柄による平均株価として算出された米国の景況を表す株価指数です。

 1928年からは30種平均となり、日本ではニューヨーク株価指数とも呼ばれます。

「え? たったの30銘柄?」

 と思われるかもしれませんが、9030以上の上場銘柄があるなかの30種類の平均株価指数なのです。選出された企業は米国国内だけでなく世界的な優良企業であると言えます。

 ところで、「NYダウが上がると日経平均株価が上がる」と言われていますが、これは一概には言えないので注意が必要です。

 確かにNYダウが上がれば日経平均株価も上がることが多いのですが、1990年から2010年ごろまでの20年間、ダウはほぼ一貫して右肩上がりでした(2008年に住宅バブル崩壊で100年に一度の不況を迎え著しく下落しましたが、翌年から回復してきました)。

日経平均株価は一貫して右肩下がり

 一方、日経平均株価はほぼ一貫して右肩下がりだということで、「長期的にみると連動しているとは言えないのでは?」と、私は感じています。ただ、NYダウが上がっているとドル高円安になることが多く、円安だと日経平均株価が上がるという傾向はあります。円安に向かうと、輸出関連企業の業績回復につながって、株価が上がり日経平均株価も上がるということで、連動しているという考え方もあるようです。確かに朝9時、日本の証券取引所が開いた最初の取引、いわゆる寄り付きの段階では、前日のNYダウの状況によって日経平均株価も上下しやすい傾向があります。企業や個人にかかわらず、投資家の資金は株、債券、商品といった金融資産に投入されるので、NY市場で資金が株に流入していれば東京市場でも株に資金が集まるという考え方もあります。

 また、株価をみるときに日本人は株価を国内の同業他社と比較しがちです。例えば自動車株ならトヨタとホンダを比較するといった具合です。しかし、国際的に活躍する金融機関の機関投資家は、トヨタ株を評価するとき、米国のGMやドイツのフォルクスワーゲンなどと比べています。海外の同業種の他社比で割安かどうかをみて売買を決めるわけです。

 というわけで、国内企業の株のみを保有している場合でも、海外のマーケットをチェックすることが賢く株式を運用することにつながるのです。

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