米国だけでなく、新興国の経済動向も日本経済には大きく影響します。
もうお馴染みになりましたが、勢いのある新興国を表すものとして「BRICS」という言葉があります。Bはブラジル(Brazil)、Rはロシア(Russia)、Iはインド(India)、Cは中国(China)のことを指します。またSは本来は英語の複数形「s」でしたが、いまは南アフリカ共和国(South Africa)を意味するとされています。
これまでの発展途上国の中で、今後大きな経済成長が見込まれるのが、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国だと米国の投資銀行大手のゴールドマン・サックスが2003年10月に投資家向けにまとめたリポートで用いてから、一般にも広く使われるようになりました。
BRICS諸国には、共通した経済発展に欠かせない要素があります。
まず、国土が広大で、天然資源が豊富であること。次に、人口が多く、若い労働力が豊富にあること。インドはとくにすごいですね。また、労働力単価が安く低コストで製品を生産できること。さらには人口が多いので、市場としても有望であることです。
とはいうものの、労働力単価の安さという点では、だんだん中国には当てはまらなくなりつつあり、さらなる新興国群としてベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンをまとめた「VISTA」も注目されてきています。
また、次に発展するであろう韓国、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナム、メキシコを総称して「NEXT11(ネクスト・イレブン)」ともいわれています。
そうした続々と発展する新興国のなかで、中国は内政不安や外交問題から、いっときほどの勢いを失っているかのようにも映りますが、まだまだその影響力は無視できません。
中国は自国の通貨である人民元を売り、ドルを買うという為替介入を行ってきました。このドル防衛のための為替介入が中国の外貨準備高、つまり外国為替を安定させるために外貨を自国に貯めこむ額が急増する要因にもなっています。中国の外貨準備高は世界一で、その額は3兆5000億ドル(約350兆円)にもなります(2013年6月末)。2006年あたりまでは日本が世界一でしたが、今やその日本の3倍近くにまで達しています。
中国政府は複数の貿易国の通貨をひとまとめにして為替を安定させる、いわゆる通貨バスケット制を導入し、ドルや円などの国際的主要通貨と人民元を連動させるように政策を変えていく、つまり統制貿易から自由貿易に移行していくことを明言しましたが、実質的にはドルとべったりなようです。ちなみに通貨バスケット制とは、具体的には自国通貨をドルやユーロ、円などの通貨に対して、それぞれどういう度合いで連動させるかを決め、為替レートを決める制度のことです。
さて、中国の株の種類は中国本土市場における上海証券取引所と深セン(センは土へんに川)証券取引所のA株、B株と、香港市場における香港証券取引所のメインボードとGEM市場に分かれます。
まず中国本土市場については、A株、B株とも中国本土に本社をおく企業が発行する同一権利・額面の株式です。A株は中国人、中国政府に認められた海外機関投資家などが買うことができ、中国の大企業のほとんどがA株市場に上場していて、人民元で取引されています。このA株とされた企業は優良企業が多いのですが、基本的には外国人は上海A株と深センA株の売買はできませんでした。しかし、2002年にQFII(適格外国機関投資家)制度の導入で、部分的に解禁されていますが、まだまだ保護段階にある市場です。
一方のB株は、A株に上場している企業がB株にも上場している場合が通常で、A株との連動性が強いため、B株の売買の際はA株の動向を考慮したほうが無難です。将来的なA株市場開放の試験的な市場と考えられていて、いずれはA株市場と合併すると予測されています。ちなみにB株市場はA株市場の数十分の1程度の規模です。ここでは、中国人も外国人投資家も投資できます。
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