ちなみにこの中には、「メガ億万長者」といわれる「富豪中の富豪」が4人だけいる。世界のトップ4だ。それは、マイクロソフトの創業者で会長のビル・ゲイツ、メキシコの実業家であるカルロス・スリム(通信事業者テルメックス会長)、「ZARA」を展開するスペインのアパレルメーカーの創業者アマンシオ・オルテガ、そして投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOである投資家ウォーレン・バフェットだ。彼らはそれぞれ一代で富を築き上げ、1人500億ドル以上の資産を誇る。
彼らと比べると、ほかの大富豪が少し劣って見えてしまいそうだ。とはいえ、他のビリオネアたちも十分過ぎるほどの大富豪である。2170人全員の、個々のプロフィールをまとめて平均化すると、いわゆる典型的な億万長者像が見えてくる。現代の億万長者はこんな感じになる。
年齢は67歳、既婚者で子供は2人。米ハーバード大学を卒業しており、資産は30億ドル(約3000億円)。資産の内訳は多い順に、自らの企業、一般の株式、現金そのほか、不動産、ぜいたく品になる。2000万ドル(約20億円)する邸宅を4つ持ち、芸術が好きで、趣味はゴルフや旅行で、飛行機や不動産に興味を持つ。
こう見ると、あまり驚きはない。それは彼らのカネの使い道を見ても同じだ。億万長者たちは、洋服や宝石、芸術品やアンティーク、ヨットやプライベートジェットなどにお金を費やしている。そして税金対策ということもあるのかもしれないが、寄付に寛大だ。億万長者全員で、過去3年に総額690億ドル(約6兆9000億円)をチャリティなどに寄付している。
ただトップ4にはこれに当てはまらない人が含まれる。例えばアマンシオ・オルテガは中卒だ。また、ウォーレン・バフェットはメガ大富豪らしくない生活をしていることで知られ、生活は「合理的」で、ぜいたく三昧からは程遠い。現在バフェットが暮らすネブラスカ州オマハの自宅は、1958年にたったの3万1500ドル(約1134万円、1ドル=360円で換算)で購入した古い家で、警備員も監視カメラもないいたってシンプルなものだ。
少し話は逸れるが、バフェットのプライベートは興味深い。オマハ出身だから「オマハの賢人」と呼ばれる彼は、財産の99%をチャリティに寄付すると宣言。2006年にはビル・ゲイツのビル&メリンダ・ゲイツ財団に財産の83%を寄付している。
バフェットは朝食にアイスクリームを食べているという。彼が経営するバークシャー・ハサウェイは、米大手アイスクリームチェーンの「デイリークィーン」を所有しているが、バフェットは毎朝食べるのは「ハーゲンダッツ」のアイスだという。
ちなみに彼は大金を稼いだことで、手に入れることができたものが1つあると言う。それは「自由」。休みの日には誰にも邪魔されずに、読書をして考えごとができる自由だという。現代社会にある欲求はすべて手にした、またはできるであろう「賢人」の非常に深いお言葉だ。
順位 | 国・地域名 |
---|---|
1 | 中国 |
2 | インド |
3 | 香港 |
4 | 日本 |
5 | シンガポール |
6 | 台湾 |
7 | インドネシア |
8 | 韓国 |
9 | フィリピン |
10 | マレーシア |
「2013年億万長者動態調査」に戻るが、億万長者を国別にみると、世界で最も億万長者が多い国は米国だ。次いで中国、ドイツ、英国、ロシア、インドと続く。残念ながら、日本はトップ10には入っていない。だがアジア内のランキングでは中国、インド、香港に続いて4位となる。
日本の億万長者は33人と、157人の中国に大差を付けられている。報告書によれば、その事実は「驚き」であり、理由は「日本円が20%も価値が落ちた」ことだと指摘する。
次の調査がいつ行われるのかは分からないが、億万長者にどんな変化が起きるのか非常に楽しみだ。
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