「少子化」を子どもの目から見てみると……新連載 博報堂生活総研・吉川昌孝の「常識の変わり目」(2/2 ページ)

» 2014年05月09日 08時00分 公開
[吉川昌孝(博報堂生活総研),Business Media 誠]
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少子化とは、「子どもを取り巻く大人の数が増えること」

 昔に比べて周囲に大人の数が増えているので、子どもは、子ども同士で過ごすよりも、大人と過ごす時間が増えています。口調や態度や考え方が大人のそれに似てくるのも当然と言えます。

 現に子どもたちだけで過ごせる時間や場所はどんどん減っており、公園や広場に行けば誰かと野球やサッカーができたのもひと昔前のこと。子どもが少ないため、地元などでチームを組まないと数が集まらず、試合もできない。そうなるとそこには監督やコーチとしてお父さん、そのサポートとしてお母さんという大人が加わります。大人がお膳立てし、習いごとのようにスケジュールを組む必要があるのです。こうなってくると、かつてのように放課後、気軽に友達の家に遊びにも行けなくなります。「○○君は今日はサッカーの練習だから」「××ちゃんは週末は塾だから」──子ども同士で一緒に遊ぶ日の調整をするために、スケジュール帳を持つ子も増えているとか、いないとか。

photo (写真はイメージです)

 1人の子どもを取り巻く大人の数が「10人」となり、2ケタ超えると予想されるのは約50年後、2061年。今の33歳が80歳になる時です。その頃には、子どものまわりは大人だらけですから、子ども同士でコミュニケーションをとる時に大人を経由しなければならない状況はますます増えるはずです。

 ですが、子どもは、大人が介在しない形で連絡を取り合いたいものです。ぐるりと囲まれた大人という障壁を超えるために、独自のコミュニケーションを生み出す必要が子どもたちの間に生まれるでしょう。その結果、子ども同士でしか通じない、大人に見られても分からない新しい言葉が生まれているかもしれません。(2014年現在も“JK”など、何となくすでに存在しますが)全人口の1割に満たない小社会の中だけでやりとりされ、取り巻く大人のバリアをすり抜けるための暗号、隠語のようなものです。

 そしてこのように先鋭化した市場を攻略するために、新しいビジネススキームが求められてきます。例えば、子どもの興味や動向などを大人の言葉に翻訳するスキルの価値化や、子どもコミュニケーションに精通した子どもがビジネスパートナーとして大人とプロジェクトチームを組むなど、これまでとは全く性格の異なる市場攻略のアプローチが編み出されることでしょう。

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