家電の買い方が変わってきた!? ヤマダ電機赤字転落のウラ:世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる(2/2 ページ)
業界トップのヤマダ電機が中間決算で赤字に転落したようです。一体、何が起きているのでしょうか? 今回は、ヤマダ電機が赤字になった原因と、その対策を考えてみます。
企業は「環境適応業」
時代の変化や技術の進歩でそれまでの優良企業がダメになることはよくあります。例えば、デジタルカメラが普及したことでフィルム業界のトップだったコダックが倒産したり、最近では無料ケータイゲームの普及で、ゲーム機メーカーである任天堂やソニーの売り上げが落ち込んだりといったようなケースです。
「企業は環境適応業である」と言われます。企業は常に進化し、変化し続ける市場環境を見通して、経営戦略を組まねばならないということです。
ネット通販が出始めたころから小売店の「ショールーム化」を危惧する声はありました。これがネット通販で商品を買うことがいよいよ一般化してきて、あらゆる顧客層がネット通販を利用するようになったということだと思います。いよいよネット販売サイトと実店舗が本格的に競合する時代がきたということでしょう。
「ショールーミング」へどう対応するか?
この「ショールーミング」にヤマダ電機は今後どう対応してくのでしょうか。もともと店舗投資もなく販売管理費も低いネット通販とリアル店舗が価格勝負したら結果は見えています。価格競争に限界がある店舗サイドとしては、ネットにはない「付加価値」を提供していくしかないと思います。
例えば、ネットとの一番の違いは「接客があること」ですから、まずは接客を見直すところからではないでしょうか。
販売員の総合的な提案力、サービス力、対応力は店舗の基本です。ヤマダ電機は多店舗展開のスピードに販売員の成長が追い付かず、現場での提案力、対応力が低下しているとの声も聞かれます。
同じ家電量販店でも、比較的に「顧客満足度が高い」(※)と言われているケーズデンキやエディオンの粗利率は落ちていません。エディオンではむしろ粗利率が上昇しています(2012年9月期:24.5%→2013年9月期:26.5%)。
家電量販店が出てきたときに、同じく環境変化で苦境に立たされた、町の電器店はどうしたでしょうか? 確かに、多くは淘汰されましたが、存続している店舗もあります。地域密着度を高めて、高齢者世帯などに積極的に出向き、取り付けや修理などを丁寧に対応したサービス力で勝負しています。
こういうところにもヒントがあるのではないかと思います。どんな企業も環境変化に立ち向かっていかねばなりません。
今後、ヤマダ電機がこの環境変化にどう立ち向かっていくのかを、よく見ていきたいと思います。(川瀬太志)
※この記事は、誠ブログの「ヤマダ電機で何が起きているのか?」〜赤字転落のウラにある環境変化とは?〜より転載、編集しています。
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