愛すべき賢くなったカーソル、新しい文字に触れるインタフェース──進化した入力環境:iPhone OS 3.0がやってきた(1)(2/2 ページ)
6月18日に配信が始まったiPhone OSのメジャーアップデート、OS 3.0の目玉機能の1つがカット・コピー&ペースト機能をサポートしたこと。iPhone OS 3.0で変わった、文字入力と編集環境を見てみよう。
「文字に触る」感覚──入力は至れり尽くせり
もう1点、iPhoneで不満だったのが、文節を区切った修正や変換に対応していなかったこと。
iPhone OSが2.1にアップデートされたときに、漢字変換はある程度使いやすくなったが、文節を区切った変換ができなかった。一度に長めの文章を入力してしまうと、うまく変換ができなくて、確定してから修正したり、入力からやり直す必要があった。
また文字入力にしても、変換を確定する前の文字に入力ミスが見つかった場合、全部消してから打ち直さなければならなかった。ソフトウェアキーボードに慣れれば慣れるほど、調子に乗って1文が長くなってきて、間違えたときのダメージが大きい。この仕様には、何度となくがっかりしてきた。
iPhone 3.0では、文字に触るユーザーインタフェースを備えることによって、この不満点を改善している。
文字入力をしているときに文字を打ち間違た場合、未確定の文字列を指で押さえると、虫眼鏡のように文字列とカーソルが拡大される。これでカーソルを動かすと、文字を削除して書き直したり、追加したりする修正が可能だ。
そして文節を区切って変換するときも、文字修正と同様の動作でカーソルを動かすと、カーソルがある位置までの文字に対する候補を表示してくれる。変換した部分を1つ1つ確定していくこともできる。文節を選ぶとそのつど変換候補が出てくるので、いちいちスペースキーや変換キーを押し直さなくていいのもスマートだ。
iPhone 3.0にすると、慣れてきて気持ちよくタイピングをしているユーザーは、そのリズムを崩したり、削除して立ち戻ったりせずに適切な漢字変換の結果を得ることが可能になる。小さなことかもしれないが、とても大きな進歩だと思う。
シェイクでアンドゥ、絵文字変換
文字入力で気になった点をもう少し紹介しよう。
まず1つは、意外にも便利なシェイク・アンドゥだ。文字入力や編集をしているときにiPhoneを振ると、直前の動作を取り消したり、取り消した動作をやり直したりするダイアログがすっとスライドインしてくる。そこで取り消したりやり直したりを選べるわけだ。これもシンプルなインタフェースだが、意外に多用してしまう。
もう1点は絵文字。iPhone 3.0になっても、依然として絵文字キーボードはSMS/MMSでしか有効にならないが、SMS/MMS編集画面ではひらがなからの絵文字変換ができるようになっている。例えば「くも」「あめ」「はーと」と入力すると、該当する絵文字が変換候補に現れる。
絵文字の読み仮名について学んでおく必要はあるが、いちいち絵文字キーボードに切り替えなくても入力できるので、SMS/MMSを多用する人にとっては重宝する存在になりそうだ。
愛すべき賢くなったカーソル、新しい文字に触れるインタフェース
今回、iPhone 3.0で注目すべきポイントは写真や映像関連ではなく、文字に関する点だった。リッチなモバイル・インターネット環境を実現する点が強調されるiPhoneにおいて、テキストの強化はスマートフォンとしての足場を完璧なものにすると同時に、マウスとキーボードを使わないテキストを扱うインタフェースの最適解を求めるものだ。
文字入力、日本人にとっては漢字変換、そしてカット・コピー&ペーストの操作は非常にシンプルで鮮やかな仕上がりだと感じた。iPhone 3.0に変わって、ちょっとフェードがかかって点滅している文字カーソルは愛すべき存在になったし、コピペ動作などをナビゲートしてくれる賢い存在にもなった。
今回は、iPhone OS 3.0のファーストインプレッションとして、講演などではあまり詳しく語られてこなかった、文字入力に関する強化点を見てきた。このほかにもアップデートのポイントはまだまだある。日本のiPhoneにとって大きなインパクトになりそうなSMS/MMSや、Macと遜色ないほど強力なSpotlight検索、ボイスメモに関しては、追ってリポートしたい。
関連キーワード
iPhone | iPhone OS 3.0 | iPhone OS | iPhone 3G | 絵文字 | iPhone 3G S | キーボード | ソフトバンクモバイル | 日本語入力 | 漢字 | ファームウェア | iPod touch | メールアドレス | スマートフォン | ソフトウェアアップデート | QWERTY | Spotlight
関連記事
iPhone OS 3.0ソフトウェアアップデート、配信開始
初代iPhoneやiPhone 3G、iPod touchで利用できるiPhone OSの最新バージョン、iPhone 3.0の配信が6月18日の午前2時過ぎから始まった。「iPhone OS 3.0」でS!メールが利用可能に――ソフトバンク、MMSのサポートを表明
ソフトバンクモバイルが「iPhone OS 3.0」の新機能であるMMS送受信をサポートすると表明した。6月18日以降、iPhone 3Gで同社のS!メールを送受信できるようになる。「iPhone 3G S」を待つか、安くなった「iPhone 3G」か
「iPhone 3G S」の発売を前に、量販店では「iPhone 3G」の16Gバイトモデルが“緊急値下げ”されていました。iPhone 2.2のアップデートポイントをチェックする
ソフトバンクモバイルにより「年内にアップデートがある」ことが明らかにされていたiPhone 3Gの最新ファームウェア「iPhone 2.2 Software Update」の配信が始まった。最大の目玉とされる絵文字対応や、なかなか楽しめるGoogleストリートビューなど、2.2の新機能をチェックした。「iPhone 3G」がiPhone 2.1アップデートで変わったポイント
アップルは9月12日、「iPhone」向けのソフトウェアアップデートを公開した。ファームウェアを更新するとバージョンは2.0.2から2.1になり、バッテリー寿命の改善やバックアップ所要時間の減少といった修正が行われている。高速化した「iPhone 3G S」、6月26日発売──OS 3.0は6月17日配信
米Appleは6月8日(現地時間)、iPhone OS 3.0の概要と、新OSを搭載した「iPhone 3G S」を発表した。iPhone 3G Sは6月19日から出荷を開始、日本では26日から販売を開始する。OS 3.0のアップデートは6月17日から提供する予定だ。16Gバイト版は月々480円:「iPhone 3G S」新規価格、キャンペーン利用で実質負担1万1520円から
ソフトバンクモバイルは「iPhone 3G S」を6月26日に発売すると発表した。iPhone for everybodyキャンペーンを利用し、新規契約で新スーパーボーナスを利用した場合の実質負担額は1万1520円から。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.