ニュース

iOS8.3登場で、iPhoneでもVoLTE通話がついにスタート━━デフォルト設定に、各キャリアで温度差も石川温のスマホ業界新聞

iOS 8.3にバージョンアップをすると、3キャリアのiPhoneでVoLTEが使えるようになったが、3社で異なるスタンスだったのが面白かった。

 9日早朝、AppleはiOSを8.2から8.3へのバージョンアップを行った。これにより、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDIのiPhone6、iPhone 6 Plusで待望のVoLTEが使えるようになった。

 今回のiPhoneにおけるVoLTE対応で、最も前のめりだったのがKDDIだ。8.3へのバージョンアップが行われる日には、スタッフが徹夜で待機。8.3が配布された直後に、アップデートを行い、VoLTE通話を試すと共に、配布後、1時間10分後にはメディアにお知らせメールを配信するという気合いの入れようだ。

 NTTドコモが9日午前9時、ソフトバンクモバイルが同午前10時30分にメールを配信したことを考えると、いかにKDDIが気合いを入れてVoLTE開始を待っていたかがわかるというものだ。

advertisement

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年4月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。

AMP 非対応のコンテンツです。こちらからご覧ください。

 ただ、一方で、ネットワークにおけるVoLTEの対応状況という点においては、3社でそれぞれ異なるスタンスになっていたのが興味深かった。

 8.3にアップデートした後に、すぐにVoLTEが使えるかどうかの設定が、3社で違っていたのだ。

 最も、やる気に満ちていたのが、NTTドコモだ。8.3にアップデートすると、設定画面における「モバイルデータ通信」の「4Gをオンにする」という項目が、最初から「音声通話およびデータ」になっていたのだ。これはすでにVoLTEを運用し始めてから10カ月以上経過することもあり、最もiPhoneのVoLTE対応を心待ちにしていたキャリアだからこそかも知れない。

 一方、KDDIもVoLTEの開始を待っていたようだが、こちらはAndoridのVoLTE端末と同じく、VoLTEの設定をすると、LTEのみにしかつながらなくなるため、ユーザーの判断を仰ぐ必要があったようだ。デフォルトの設定では、8.3アップデート時は「データのみ」となっており、手動で「音声通話およびデータ」にする必要がある。

 また、KDDIでは、4Gのみと従来の設定を行き来すると、迷惑電話撃退サービスの登録リストに齟齬が出たり、着信転送の設定や留守番電話の確認・設定などに使う電話番号がVoLTE時は5桁の番号になるなど、従来とは違いが出るため、混乱を避ける上で、慎重な姿勢で手動切り替えにしているようだ。

 ただ、AndroidではSIMカードの切り替えが必要であったが、iPhoneではSIMカードはそのままでVoLTEが使えるというのは、混乱を避ける上でも良かったのではないか。このあたりの対応はiOS側で相当、頑張ったかも知れない。

 3キャリアで最も消極的な感があるのがソフトバンクモバイル。8.3にアップデートしても、すぐにはVoLTEは使えず、My SoftbankなどでVoLTEをオンにする同意をしなくてはいけない(無料)。ソフトバンクのサイトには、順次自動的に使えるようになるとあるが、今回の対応はVoLTEに対して、ちょっと慎重になっているような気がする。

 確かに、iPhoneのユーザー数も多く、ユーザーが一気にVoLTEに切り替わることでのネットワークや設備のインパクトを考えると、慎重にならざるを得ないのかも知れない。

 実際、VoLTEで通話を試したが、かなり音質は良いと実感できる。これまではauを使っていたせいか、固定電話相手でも高音質になったと感じられるし、他キャリア宛でも、呼び出し時間が短くなったような気もする。

 今後、VoLTEで通話できる相手が増えることで、さらに利便性を実感できそうだ。

© DWANGO Co., Ltd.