格安SIMユーザーは災害時にどうすべき?――IIJが案内:スピードテストは控えて
MVNOサービスのユーザーは、災害が起きたときにどんなサービスを利用すればよいのか。緊急通報や緊急地震速報は利用できる? 注意すべきことは? IIJの案内を元にまとめた。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が4月18日、災害発生直後におけるIIJmio(高速モバイル/Dサービス)の利用について案内した。下記の情報は、IIJmio以外の格安SIMユーザーにとっても参考になるものが多いので、ぜひ確認しておきたい。
緊急通報は音声SIMのみ利用可能
まず、緊急通報はデータ専用SIMとSMS機能付きデータSIMでは利用できず、音声通話機能付きSIMでのみ利用できる。いざというときのために、音声通話ができるSIMカードは持っておいた方がよさそうだ。
緊急地震速報は格安SIMでも利用できるが……
緊急地震速報は、データ専用SIM、SMS機能付きデータSIM、音声通話機能付きSIMのいずれも利用できる。ただし、SIMロックフリー端末によっては利用できない場合があるので注意したい。緊急地震速報が使えない場合は、「Yahoo!」アプリなど、災害情報を配信しているアプリを活用したい。
IIJでは気象庁の緊急地震速報を、以下のTwitterアカウントにて日本語、英語、フランス語、韓国語の4カ国語で配信しているので、こちらも活用したい。
被災地あての電話はなるべく控えよう
被災地の通信規制については、データ通信は規制はないが、混雑によって通信が遅くなる可能性はあるとIIJは案内。また、音声通話は発信が集中すると、一部で通話が規制される場合がある。ドコモ回線を使ったMVNOサービスの場合、ドコモと同等の規制となる。
注意したいのが被災地あての電話。IIJは、電話が集中して通信が規制されないよう、できる限り被災地あての電話はできる限り控えるよう呼びかけている。着信側が音声回線を使う「LINE Out」や「Viber Out」も同様だ。災害時の連絡には、電子メール(Gmailなど)、Twitter、Facebook、LINE(テキストでのトーク)などを使うのが望ましい。
※あくまで災害発生直後に注意すべきことで、IIJは「現在は通常通信でも問題ない」としている(4/19 21:16追記)。
安否の登録と確認
MVNOサービスのユーザーは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが提供する災害用伝言板は利用できないため、安否の登録には、NTT東西が提供している「web171」を利用するのがよい。こちらでも電話番号を登録できる。Web171に登録したデータは、3キャリアの災害用伝言板からも横断で検索ができる。電話番号よりも名前の方が分かりやすければ、氏名を登録する「Googleパーソンファインダー」を活用したい。
安否の確認には、NTTレゾナントが提供している「J-anpi」を利用しよう。こちらでは、災害用伝言板、Web171、Googleパーソンファインダーに登録した情報を検索できる。MVNOユーザーの災害時安否情報の登録・確認については、てくろぐの記事も参考にしたい。
被災地以外のユーザーも不要な通信は控えよう
IIJmioをはじめとするMVNOサービスは、全国で一度にデータ通信できる量に限りがあるため、IIJは、容量の大きな通信は、なるべく控えるよう呼びかけている。例えば災害時のニュースを配信する動画サービスは、ストリーミングに多くのデータ量を使うので、「なるべくお控えください」としており、データ通信を行わないワンセグやラジオの利用を勧めている。
また、通信速度を測るスピードテストなどの不要不急の通信は「お控えください」と呼びかけている。確かに、スピードテストは一度の何度もダウンロードやアップロードを繰り返し、1回のテストで数10MBを消費するので、影響は大きいといえる。
※あくまで災害発生直後に注意すべきことで、IIJは「現在は通常通信でも問題ない」としている(4/19 21:16追記)。
MVNOでは、なぜ被災地以外の場所での通信が、他の地域でも影響するのか? MNO(ドコモなど)とMVNOの設備をつなぐPOI(相互接続点)は、全国で1~2箇所しかなく、MVNOサービスの通信が混雑すると、このPOIがボトルネックとなるためだ。例えば、関東で大量の通信をすると、九州を含む他の地域でもMVNOサービスの通信速度が遅くなることは十分にあり得る。
IIJの場合は関東と関西にPOIを設置している。どのユーザーの通信がどこのPOIを経由するかは、ユーザーの所在地とは関係なく、東京にいるユーザーが関西のPOIを経由して通信をすることもあるという。なおIIJによると、現状、被災地以外の通信が原因で、被災地での通信が混雑するほどの状況にはなっていないとのこと。
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