MVNOと消費者保護ルール:MVNOの深イイ話(2/3 ページ)
改正された電気通信事業法が施行されて、約1年がたちました。電気通信事業法の消費者保護ルールがMVNOにはどのように適用されているか、MVNOにとっての今後の課題は何か、皆さんにお伝えしようと思います。
消費者保護のチェックのためのモニタリング会合
このように電気通信事業法の改正により強化された消費者保護ルールですが、これらの仕組みが適切に実施されていることをチェックし、電気通信事業者による自主的な取り組みを促したり、新たな制度改正を提案したりするための専門家による有識者会議として、「消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合」が2016年に設けられました。この会合では、消費者からの苦情の分析結果や、電気通信事業者への書面調査・対面調査・覆面調査、ユーザーへのアンケートを行い、その結果を年1回、報告書としてまとめています。
- 2016年度のモニタリング報告書(※PDF)
この中で話題となったのは覆面調査でしょう。総務省の委託を受けた調査員が実際に店舗に行き、あたかも契約をするユーザーに装って店舗スタッフから説明を受け、その説明や応対に問題がなかったかを採点するという取り組みです。
2017年6月に開かれたモニタリング会合では、覆面調査に基づくMNOの初期契約解除制度や料金プランが説明不足だっという指摘がありました。2016年度に、この覆面調査はMNO(ドコモ、au、ソフトバンク)、光ファイバー(FTTH)事業者18社に限り行われ、MVNOは覆面調査の対象とはなっていません。ただ、書面調査については15社のMVNOが対象となっています。
MVNOの苦情を分析すると、端末の保証に関する認識の不一致や、解約の条件に関する苦情など、消費者のサービスの理解が実際と不一致だったことに起因する苦情が多いことが分かりました。ここから、MVNOサービスの契約時に十分な説明がなされていない、またはユーザーの理解が十分でないまま契約に至ったケースが多いことが疑われます。
MNOに比べ、ネットワークのつながりやすさや通信速度に関する苦情が多かったことも指摘されました。実際、MNOでは苦情全体の4.8%がネットワークのつながりやすさや通信速度などに関するクレームでしたが、MVNOでは3.6倍の17.4%でした。苦情の総件数に占める比率でも、2016年1~3月期と、2017年1~3月期における比較において、MNO3社が30.6%から26.2%に減ったのに対し、MVNOは4.5%から7.7%へと大きく増加しています。
書面調査に関しては、対象となった15社のうち12社でユーザーへの説明などにかかわる記載不備などがあり、総務省による改善指導が行われたことが報告されています。
このように、MVNOに対しては厳しい指摘が見られたモニタリング会合ですが、2017年度にはMVNOの実店舗に対する覆面調査も実施が予定されるなど、MVNOに関するモニタリングがより強化される見込みです。
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